今回はイザナミ(スポンサードリンク)のサンプルストラテジーを公開がてら、株式売買の知恵をご紹介していきたいと思います。
ご紹介するのはディストリビューションと3日サイクルの概念です。それぞれ、リチャード・D・ワイコフとジョージ・D・テイラーが発案したものです。両名とも界隈では有名なトレーダーで、その著書は多くのトレーダーに多大な影響を及ぼしました。管理人も例外ではなく、彼らの株式に関する売買技法に影響を受けています。
その影響を受けた証左として、ひとつ空売りのルールを構築してみました。期待値そこそこの短期トレードルールです。ルールの解説に絡んで、前述の巨匠の知恵をご紹介したいと思います。
Contents
空売りルールのご紹介
まずはじめにイザナミ(スポンサードリンク)を使ったルールの紹介からしていきましょう。今回開発したストラテジーは以下の通りです。興味のある方は画像や文章を読んで、ご自身でも検証してみてください。
- (対象銘柄)
- 全ての貸借銘柄(イザナミの設定方法はイザナミ豆知識を参照)
- 株価が120円より大きい
- 直近45日間の売買代金が30千万円より大きい
- (仕掛けのルール)
- 3日前の株価(終値)は前日よりも高い
- 3日前の出来高は前日よりも少ない
- 1日前の株価(終値)は前日よりも高い
- 1日前の出来高は前日よりも少ない
- 今日の出来高は直近50日間の平均値の3倍よりも多い
- 翌日に寄り付きで成行売りする
- (手仕舞いのルール)
- 保有期間が3日以上となったら翌日に大引けで買い戻す(要は4日目に手仕舞い)
検証結果は以下のようになります(※2022年8月現在)。
ルールを理解するための前提知識
さて、上記の通りルールをご紹介した訳ですが「なにやってんのか全然わかんねーぜ」という方もいらっしゃると思います。むしろ、理解できたら知識人です。えばってよいです。
なので、以下にこのルールで使っている先人の知恵をご紹介していきたいと思います。
ワイコフの出来高分析
最初は今回のルールの肝である出来高分析の方法論です。リチャード・D・ワイコフという相場の大御所のお知恵を拝借しました。出来高分析の父とも呼べる人物です。
まず、今回のストラテジーで対象としているチャートパターンをご紹介します。基本的に以下のようなチャートパターンを狙って売買しようとしています。価格と出来高の矛盾に注目してください。
基本的に株価が上昇トレンドにある時期は、出来高の上昇が伴います。大口が徐々に徐々に買いますことで価格が上がっていくためです。これを相場界隈の専門用語でアキュムレーション(買い集め)と言います。
しかし、今回のケースではその逆を狙います。そう、ディストリビューション(売り抜け)です。
ディストリビューションの日には、株価が上がる一方で出来高は低下すると言われています。もしくは価格が下がって出来高が上がります。要は買い意欲は低く、売り圧力が強いということを出来高が教えてくれるのですね。
そんな訳で、前述のルールには3日前と1日前にこのディストリビューションの条件を利用しています。
こうした出来高分析は、古くはワイコフによって提唱された理論です(ただし、当人はディストリビューションという単語は使っていない?)。出来高分析と言えばアームズのTRINが有名ですが、年代からしてワイコフが元祖と言ってよいでしょう。ディストリビューションについては、オニールも空売りや持ち株を決済するタイミングとして推奨しています。
出来高急増でトレンド転換
もう一度ルールとサンプルチャートを見返してみましょう。直近のトリガーとして、出来高急増を利用していますね。
このルールは、正直なところ誰が考案者なのか管理人も分かりません。ただ、出来高急増=価格の転換点であることが相場では経験的に知られています。ただし、転換点だからといって反転するという話ではありません。加速する場合もあります。ご注意を。
ここら辺の事情は、アラン・ファーレイというトレーダーがその著書の中で語っています。興味のある方は、リンク先で紹介した著書の中で「スパイク」という手法を探してみてください。
テイラーの3日サイクル
最後にご紹介するのは、ジョージ・D・テイラーです。近年ではそれほど取り上げられることはないのですが、ローレンス・A・コナーズやラリー・ウィリアムズの著書にたびたび名前が出てきます。当然、彼らのトレードスタイルにも影響を及ぼしました。
テイラーの特徴は、サイクル法を提唱している点です。基本的には3日サイクルで「買いの日」「売りの日」「空売りの日」を繰り返すという分析手法をとっています。以下は管理人なりにそれぞれの日を解釈したものです。
- 買いの日:安値になりやすい。買いに適した日。
- 売りの日:前日(買いの日)よりも株価が高くなりやすい日。
- 空売りの日:高値を付けやすい。寄り天になりやすい日。
さて、これを最初のチャートに当てはめてみましょう。なぜ直近3日の値動きに注目するのか?なぜ4日目で売るのか?なんとなく分かってきませんか?
まあ、個人的にそこまでこの3日サイクルは意識してはおりません。ただ、検証作業をしていて「とりあえず手仕舞いは3日で」というのはアリだと思います。実際、そこから一歩も改良できないルールも結構あったりするので重宝します。
売買ルールの解説補足
上記の通り、理解の前提条件となる相場の知恵をご紹介してみました。その上で、もう一度ルールをご覧ください。なんとなくおかしいところがありませんか?
- (仕掛けのルール)
- 3日前の株価(終値)は前日よりも高い
- 3日前の出来高は前日よりも少ない
- 1日前の株価(終値)は前日よりも高い
- 1日前の出来高は前日よりも少ない
- 今日の出来高は直近50日間の平均値の3倍よりも多い
- 翌日に寄り付きで成行売りする
- (手仕舞いのルール)
- 保有期間が3日以上となったら翌日に大引けで買い戻す(要は4日目に手仕舞い)
そう。2日前の条件と当日の株価はどこにいった?という話です。
正直なところを話しますと、2日前と当日のルールを組み込むとシグナルが大幅に減ってしまうのですよ。興味のある方は試してみてください。20年の検証で100個ちょいしかシグナル出ないと思います。
逆に言えば、2日前と当日の条件は外してもなんとかなりそうだという結果です。ただ、3日前と1日前の条件式は必須です。これを外すと大幅に期待値が下がります(ただまあ、優位性はあるようなのですけど)。
ちなみにTwitterでは、買いバージョンもご紹介しました。興味のある方は試してみてください。少し様子が変わりますが、期待値プラスにはなります。売りと買いのどちらかで成立したら、逆バージョンも試すと幸せになれることが多々あります。
所感と応用方法など
以上の通り、今回は出来高分析を使った空売りルールをご紹介してみました。
個人的にはこれまで出来高分析って微妙だなと思っていました。ただ、今回のケースのように長期ではなく短期のトレードでは活用できる場面があるようです。実際、管理人もスポット的にストラテジーに組み込んだものがありますね。ただ、ワイコフのことは疑っていました。すいません。
ついでにアキュムレーションやディストリビューションを利用すると、他にも色々とルールが作れそうな感触を持っています。例えば、ディストリビューションの日をカウント→頻繁に発生するようになったら長期ポジションを手仕舞うとかですかね。確かイザナミ(スポンサードリンク)であれば実現できたはずです。
読者の方へのおすすめは、今回の記事の中でご紹介したトレーダーの著書を読んでみることです。「知識は力」。「巨人の肩に乗る」。10冊読めば1冊くらいはお宝が発見できますよ。その集大成はおのずとストラテジーの出来不出来に現れると思います。お試しあれ。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。