技術視点で見たNintendo Switchというハードウェア

任天堂スイッチの技術的要素

ポケモンGoのリリースで株価が急騰してから5ヵ月。2017年1月13日に任天堂から新しい材料が提供されました。新ゲーム機である”Nintendo Switch(スイッチ)”の発表です。

足元では様々な思惑・意見が絡み、発表時には株価が下落。「期待外れだ」との声も聞かれます。ただ、管理人はそうとも思いません。ハードウェアの機能を見る限り、ゲーム体験というものの質を変える要素が搭載されていると感じるためです。

本ブログ管理人の本業は、機械技術者です。今回は知的好奇心から特許情報を調べてみました。技術者としての視点から、任天堂switchの品評をしてみようと思います。

  1. Nintendo Switchの概要
  2. Swichの特許と技術的要素
    • モジュール設計の概念
    • VR機能実現の余地
    • HD振動と触覚デバイス
  3. 多機能を実現可能なポテンシャル

Nintendo Switchの概要

始めに任天堂の新作ゲーム機の概要から。今回、任天堂は「プレゼンテーション2017」と称して、東京ビッグサイトにて新作ゲーム機であるSwitch(スイッチ)の発表を行いました。発表と同時にHPもリリース。以下の任天堂サイトでは、Nintendo Switchのプレリリースを動画で見ることができます。

「Nintendo Switch プレゼンテーション2017」のHP(別窓で開きます)

サイトを見ての通り、このSwitchというゲーム筐体は一つの形状に留まらないことが分かります。ある時は両手で持つゲームコントローラとして、ある時は2人で持つ別々のコントローラとして、またある時はポータブルゲーム機として・・・。モニター、ドッグ、コントローラをTPOに応じて組み替えるという斬新なコンセプトがあるようです。ゲーム体験を「スイッチ」するという、その名にふさわしいゲーム機となっています。

こうした点に興味を持ち、Switchに利用されている技術的要素を調査してみました。技術者である管理人の知的好奇心によるものです。以下には、技術的な観点からSwitchを要素分解していきたいと思います。

Swichの特許と技術的要素

今回、主に調査した対象は任天堂から出ている特許情報です。管理人は製品開発という仕事柄、特許を調べることがしばしばあります。このスキルを活かしてSwitchに関する特許公報を調べてみました。結論としては、日米の両方で出願されていましたね。

公開情報は日本の特許庁サイトで見ることができます。興味のある方は、調べてみてもよいでしょう。「権利者:任天堂」「発明の名称:ゲームコントローラ」と指定して検索をかければ、関連する出願内容(例えば特開2017-000760)が見つかるはずです。

任天堂スイッチの特許調査

特許庁の検索データベース

尚、特許庁の当該文献は直リンクができないようです。まあ、これを機に特許の調べ方を覚えておいて良いかも知れません。バイオ銘柄なんかは特許が株価上昇の材料になることもあります。

モジュール設計の概念

特許を調べると、ハードウェアではコントローラに関する出願が目に付きますね。特に「着脱可能」という点と「接続部分」が権利主張の主眼です。ここが権利の核となる部分なのでしょう。少なくとも2013年にはそれらしい出願があり、この頃からコンセプトがあったように思います。

技術的には「モジュール設計」という概念の上に成り立っています。モジュール設計というと小難しいのですが、簡単に言って「色々な機能を持つ部品(モジュール)をバラバラに作って組み合わせよう」という発想です。よくよく考えればコントローラをゲーム機本体に繋げて作る必要はない訳で、あえてバラバラにすることで様々な組み合わせや機能の追加が実現できるという寸法です。

任天堂スイッチは複数形態に変化

このモジュール設計は昨今の流行りで、身近な所では携帯・スマートフォンなんかはこの設計思想で作られています。分解してみると分かりますが、リチウム電池、液晶画面、CPU・メモリ基盤、アンテナからSIMスロットまで、個別の部品をそれぞれ用意して組み合わせただけです。実を言うと、アンテナモジュールやSIMスロットなんかは別の機種で使いまわしていたりもしますし、それぞれの部品単体はどこでも作れるものであったりもします。

特許を取るときのポイントは、接続部分(インターフェース)を重点的に権利化することですね。iPhoneのAppleが上手くて、他社がパクリ製品を作ろうとしても、接続部分の特許に引っ掛かります。個別の部品は簡単に手に入っても、いざ組み立てると特許に引っ掛かるという罠がある訳です。前述した任天堂の特許も、同様の手法を取っていることが伺われます。

VR機能実現の余地

前述の特許を見ていくと、ヘッドマウントディスプレイに小型モニターを挿入する図が記載されていることが分かります(図60)。ヘッドマウントディスプレイ=VR(ヴァーチャルリアリティー)が連想されます。ゲーム機の競合としてSonyのPS VRがありますから、ある意味当然の選択肢かも知れません。

VRを実現するハードウェアそのものは、既に一般的な技術で作ることができます。今やスマートフォンでもVRを楽しむことが可能な時代です。むしろ肝になるのは、VR画像を作るためのソフトウェアの技術です。それを伺わせるかのように、VRの画像処理に関する特許も任天堂から出願されています。

VR機能については、まだ任天堂の広報から発表がありません。VR対応ソフトが発売されてから初めて発表する気なのかも知れません。まあ、VRブームは既にスタートアップは終わった感があるので、あまり重きを置いていないのかも知れません。

HD振動と触覚デバイス

最後に3つ目の要素であるHD振動です。管理人も聞いたことがありませんでしたが、技術用語であるようです。要は「様々な振動を組み合わせて感覚を再現しよう」という技術です。これが分かった時「おお、触覚デバイスかよ」と思いました。

スマートフォンにも画面タッチで触覚的な反応を返すものがありますね。ただ、Switchの機能はそんなヌルいものではなさそうです。以下の動画が端的に示しています。任天堂のPR動画です。

触覚デバイスの概念が世に出てきたのは、もう20年位前の話でしょうか。視覚・聴覚に次ぐ次のデジタルデバイスなんて言われていました。当時はいまひとつピンと来ないものがありましたが、上記の動画を見ると衝撃的とも言うべき感想を持ちます。それくらいの目新しさがあります。

尚、HD振動の技術開発は任天堂のものではありません。Immersionという会社からライセンス供与されて利用するようです。Immersion社は米NASDAQに上場する新興企業です。

多機能を実現可能なポテンシャル

以上の通り、Nintendo Switchの技術要素を3つ挙げてみました。ユーザーが重要視するのは「何ができるか?」「どんなゲーム体験ができるか?」の視点でしょう。Switchはそんなニーズを多機能と汎用性という武器で満たすものと考えます。今回紹介した技術的要素は、そんなSwitchを支える屋台骨です。

足元では「価格が高い」「CPUスペックが低い」「ソフトウェアのラインナップに不安」と言った評価が並んでいます。確かに任天堂の商売下手を的確に示す評価であると思います。ただ、任天堂はモノづくりのDNAを持った日本企業です。ポケモンGoやマリオランのようなソフトウェアの分野で戦うよりも分があるのではないでしょうか。前作のWi-Uこそ大失敗したものの、それ以前は勝ち組企業であったことを思い出してしまいます。

尚、今回の記事は管理人による完全なるポジショントークです。高値での買い増しをしたため利益はほとんど0になってしまいましたが、30,000円超えまではじっくり持つ気で臨んでいます。長期チャートを見てみて下さい。まだまだ、上値に余地があると思いませんか?

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