大納会買いの大発会売り~年末年始のアノマリー

大納会買いの大発会売り~年末年始のアノマリー

今年の株式相場も終わりに近づいて来ました。年内も最終営業日の大納会で株式市場は終了。年明けの大発会まで株式相場はお休みです。

そんな年末年始の大納会・大発会に絡んで、アノマリーを利用したひとつのトレードノウハウがあります。手法はいたってシンプル。「大納会で買い、大発会で売る」だけです。今回は、年末年始のアノマリーとトレード手法をご紹介していきましょう。

  1. 年末年始のアノマリー
  2. アノマリーの背景
  3. 年末に仕込む銘柄
  4. 年始の株価動向

年末年始のアノマリー

日本の株式市場は年末年始に休場します。例年、年内の終わりと年始の開場にはイベントが催されてニュースになります。年内の最終営業日が大納会、年始の市場開場の日を大発会といいます。

実は、年始の大発会。この日は毎年、日経平均がプラスで引けるというアノマリーが存在するんです。近年の傾向をみてみましょう。ほとんどの年は、前日比(大納会の引けから)高値で引けています。

大発会の年日経平均終値前日比
201415908円-382円
201310688円+292円
20128560円+104円
201110398円+169円
201010654円+108円
20099043円+52円
200814691円-464円
200717353円+31円
200616361円+67円
200511517円+59円
200410825円+38円

この大発会のアノマリーを利用すれば、年明け始めのトレードから利益を出すことが容易でしょう。年末の大納会の日にあらかじめ任意の銘柄を仕込んでおき、年始の大発会で利益確定。これで、先行きよい年明けを迎えることができます。

アノマリーの背景

大発会の日に株価が上昇する理由には諸説あります。一つは年のはじめのご祝儀相場であること。もう一つは年末に処分売りがあることでしょう。

大発会がご祝儀相場となるのは、投資家達が願掛けのために皆で買いで臨むことによります。大発会は一年の株高を願って、理屈抜きで買いが集まる傾向にあります。

需給の面では、年末の処分売りがあった点も大きく影響します。機関投資家にも正月休みはありますから、休み前にはリスク調整のために建て玉を処分します。個人投資家も同様です。正月休みにネガティブイベントが起こることを嫌って、処分売りをする傾向があるようです。まあ、個人投資家の場合は、損失確定による節税を目的とする場合もあるようです。

処分売りの結果、12月の半ばには売りが一巡します。年始からは買いの需要だけが残るという寸法ですね。正月休みにポジションを持つリスクさえ許容できれば、年末の株価が安くなったところで買いのチャンス到来となる訳です。

年末に仕込む銘柄

では、年末にはどのような銘柄を仕込むとよいのでしょうか。ここでは個人的意見を述べていきたいと思います。ざっくりとした分類として、3つ挙げてみましょう。

  1. 個人投資家の優待銘柄
  2. 個人投資家の新興市場銘柄
  3. 海外投資家の大型銘柄

まず、一つ目は優待銘柄です。昨年からNISAが始まり、優待目的で株式を保有する方が多くなりました。年が明けるとNISAの非課税枠が刷新されますから、ここでスタートダッシュを切る投資家も多いことでしょう。普段は忙しいサラリーマン投資家も、暇を使って株式投資を考え始める時期です。そんな投資家のありがちな買い選択肢は優待銘柄でしょう。

参考記事:株主優待のアノマリーを利用して高勝率

2つ目は、同じく個人投資家の新興市場買いです。個人投資家による買いが入ることは前述の通りですが、特に彼らが好む新興市場銘柄に乗っかります。JASDAQやマザーズ、東証2部の小型・中型銘柄が狙い目です。市場のマスが小さいので、個人投資家の買いだけでも、値が動きますしね。機関投資家不在の1月は、個人投資家が主役の新興市場株がメインディッシュとなります。

3つ目は、外国人投資家が好きそうな銘柄です。彼らは、短期取引をメインとしています。そんな短期バイヤーほど、利益の出ない時期に株式を保有することを敬遠します。特に、海外のトレーダーは年末に査定を控えています。ボーナス査定の材料とするために、利益の大きな銘柄は決済していたことでしょう。年末のクリスマス休暇を前に、海外投資家のポジションはほとんど処分されたと考えます。つまり、年始の外国人投資家は買いの一択を迫られるという寸法です。

年末年始のアノマリーを利用し、大納会で仕込んでおけば多くの銘柄で利益は出ることでしょう。ただ、少しでも利益と勝率を上げるのであれば、銘柄選定を行っておきたいところです。それがまさに個別株を売買する妙味であるのですから。

年始の株価動向

年始に上がった新興市場株は、1月一杯まで上昇する傾向にあります。初旬から中旬に進むに連れて機関投資家も加わり、新年の個別株が物色され始めます。昨年末の決算が良かった銘柄や、年末に新規上場を果たしたIPO銘柄などが買いの対象でしょうか。個人的には、マザーズやJASDAQの小型銘柄が面白いと思います。繰り返しになりますが、1月は新興市場株が株式相場の主役です。

一方では、買っても利益が少ないのは、材料に乏しい大型株でしょうか。TOPIXや東証一部に組み込まれた大型株であっても、買いに入る機関投資家はまだ、本腰を入れてきません。何しろ、市場参加者は個人投資家ばかりであるので、彼らの購買力だけでは大型銘柄は値が動きません。唯一の例外はアベノミクスの年で、2013年の年明けには外資系の短期筋も市場に参加していたようです。もしかしたら、2014年以降は大型株の新年の傾向は変わるかもしれません。

上記の傾向は、2月に入るまで続きます。逆に、2月に入ると年度末を意識した動きが始まります。年度末決算前の利益確定売りです。年始相場もここで一旦の収束を見せることでしょう。我々も、1月末から利益確定を考える必要があると考えます。

以上、年末年始のアノマリーでした。あらかじめ、投資家の動向が分かっていると売買もしやすく、市場の動きに慌てずに済みます。もう少し詳しい話が知りたい方は、以下の記事も併せて読んでみてはいかがでしょうか。

参考記事:投資カレンダー2015が発売!その内容紹介と活用方法

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