年明けは小型株上昇のアノマリー

今回は、年明けのアノマリーと題して、1月の小型株の傾向について取り上げたいと思います。

2015年の相場は波乱の幕開けで始まりました。日経平均の下落です。正月早々から、外資勢の売り仕掛けが行われました。結果、大型株は総じて不調。大発会のご祝儀相場も泡と消えました。

ただ、そんななかでも管理人は買いで利益を上げました。東証2部やJASDAQの小型株を仕込んでいたのです。例年、年始相場は個人投資家の独壇場になっているので、年末から小型株を先回り買いしておくと、年明けに利益が出ます。ここでは、個人投資家の特性を利用した買い手法をご紹介します。

  1. 小型株買いの傾向と対策
  2. 年始は個人投資家の独壇場
  3. NISA開始で傾向に拍車
  4. 狙うなら3月の優待銘柄か

小型株買いの傾向と対策

早速ですが、年始の小型株の傾向を見ていきましょう。以下は、小型株の代表として、JASDAQの1月の推移を示したデータです。2007年からの日足データを調べて、騰落率の推移を調べてみました。

JASDAQ指数1月の推移データ

結果は、2007年から2014年までで、4勝2敗2引き分け。もっとも、2009年はリーマンショックの直後ですので、それが敗因でしょうか。もっとも、それ以前のはずの2008年年明けからJASDAQが下がっているデータは気になるところです。まあ、25%でしか負けていないので、勝率としては良さそうです。

2013年はアベノミクスで絶好調の年でした。これらを除いても、他の月に比べて年始の相場ではJASDAQ市場上場の銘柄が好調である傾向が分かります。いわゆる「年始の個人相場のアノマリー」です。このデータとアノマリーを知っていれば、年末に小型株買いを仕込んでおこうという計画ができた訳ですね。年明けの頃合いの良いところで売り抜ければ、年始の出だしを好調にスタートすることができます。

ちなみに、このアノマリーについては投資カレンダー2015にも記載があります(投資カレンダーについては、以前の記事に記載しました)。売れ行き好調なようで、今年も1月の時点で印刷版が売り切れました。Kindel版と若干割高な個人出品なら、まだAmazonで取り扱いがあります。

投資カレンダー2015: 株式・日経平均先物の必勝投資アイテム (マルチメディア)

年始は個人投資家の独壇場

前述のようなアノマリーが形成される背景には、個人投資家が売買の主役を担っている状況が伺われます。年始と言えば、大発会のイベントばかりが注目されがちです。しかし、1月相場の例年の傾向まではあまり知られていません。

まず、1月の年始は機関投資家にとって、まだ本腰を入れる時期ではありません。日本の機関トレーダーにとっては、正月明けの寝ぼけまなこな時期です。海外投資家は、年末から引き続き、まだポジション調整を続けている期間です。そして、月の後半には、その年最初のFOMC(米連邦公開市場委員会)が控えていますしね。1月の前半の時点では、機関投資家達は、方向性を決めません。

結果として、1月の株式市場を担うのは個人投資家の役割になります。特に資金面では、ボーナスをもらって参加する個人投資家がいること。また、年末の節税売りが一巡し、手持ちの建て玉なくなったことが要因として挙げられます。投資機関が傍観する中、資金の余った個人投資家の買いばかりが目立ちます。

個人投資家の買いの結果、動くのは小型株です。東証一部上場銘柄やそれに準ずる大型株を動かすほどのインパクトはありません。規模としては東証2部以下、特に少ない資金で振れやすいJASDAQ銘柄の株価はよく上がります。元々、個人投資家がマザーズ銘柄、JASDAQ銘柄を好むことも、小型株が買われやすい要因となっているのでしょう。

NISA開始で傾向に拍車

個人投資家の買いに拍車をかける要因として、さらに2014年から始まったNISA(ニーサ)の存在があります。NISA制度元年の2013年1月は、特にJASDAQ市場が好調となりました。個人投資家=小型株という構図を思わせる上昇相場でした。

NISAといえば、年間100万円の投資資金まで課税免除の恩恵がある制度です。この年間100万円の枠組みが追加されるのが、新年1月である訳です。新年のしょっぱなからかっ飛ばしていく個人投資家が多いのでしょうか。2014年の出だしも、大幅な買いが入りました。

JASDAQ指数1月の推移データ

もっとも、個人投資家と言えども大型株にも投資をしていたようです。ただ、機関投資家も手がけていた銘柄では、個人の資金は埋もれてしまったのでしょう。個人の買いが多くとも、上がらなかった大型株は多数ありました。逆に明確に上がったのは、優待銘柄や高配当が好まれた、典型的な人気銘柄でした。NISA制度の利用法として、このような銘柄が多く買われたものと考えます。

上記を踏まえると、どうやらNISA制度の実施は、年始の小型株買いのアノマリーに拍車をかける要因となりそうです。制度に変更が加えられるか、個人投資家が痛い目に遭わない限り、この傾向は将来も続いていくことでしょう。銘柄選定に自信のある方は、彼らの買いに合わせて年末に仕込んでもおいても面白そうです。慎重派の方は、株価が上がり始めた頃を見極めて、乗っかり始めても良さそうです。

狙うなら3月の優待銘柄か

今回のアノマリーを利用するに当たり、最後に銘柄選定のおすすめ手法をご紹介しましょう。題意の通り「3月の株主優待銘柄」を買うことです。年始に小型株が上がりやすいアノマリーは、特に3月の人気優待銘柄に顕著な傾向が現れます。

3月といえば、株主優待の権利取りが相次ぐ時期です。特に日用品を扱う企業や生活に身近な企業が、年度末の3月に決算を集中させています。当然、株主優待の中身は一般消費者の志向に合わせた商品やサービスが提供されています。そして、この優待欲しさに銘柄を保有する投資家が多いことが知られています。

株主優待銘柄のアノマリーについては、別途記事でも紹介している通りです。この手法は、特に3月の株主優待銘柄、特に小型株で大きな利益を上げることができます。例えば、スターバックスです。イベント投資の大御所である「夕凪」さんが、スターバックスについて著書で触れられています。

スタバ株は1月に買え!―10万円で始めるイベント投資入門

残念ながら、スターバックスは米国本社に吸収されて上場廃止となってしまいます。例年、非常においしい銘柄でしたけどね。ただ、スターバックスがなくなっても、3月の優待銘柄の小型株については、同様のアノマリーが依然、成立しています。言うなれば、「3月優待銘柄は1月に買え」という所でしょうか。

夕凪さんの投資法からは、管理人も多くを学ばせてもらっています。「イベント投資」ことアノマリー投資に関して、非常によく研究されている方ですね。ちなみに書籍では、株主優待のアノマリーだけじゃなく、TOPIX買いについても触れられています。1月の銘柄選定に参考にされてはいかがでしょうか。

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