FRBの利下げ実現で米国株にはバブルが来るか

今回は米国株の動向について相場観を述べてみたいと思います。

長らく一定のスパンで上下動を繰り返している米国のダウ指数。ここに来て、重要な変化の兆しが現れました。米ドル安と利下げ観測です。

米国株が上がらない要因として、すでに割高感があるという理由があります。ただ、米ドルが下落したらどうでしょう。諸外国から見て買いやすくなるのではないでしょうか。何しろ、米国株はドル建てで運用されています。

実際問題として、米ドル安かつ株高となる材料が出始めています。FFレートの引き下げです。米FRBに利下げ観測が出ているのです。

難しいメカニズムですので、順を追ってご紹介していきたいと思います。

2019年は先進国の通貨安競争が始まる年

最初に通貨レートの動向から考えていきましょう。2019年は年頭からユーロ安が続いている年です。理由は言わずもがなのBrexit問題です。悶々として進まないイギリスEU離脱問題を受けて、ユーロは下落の一途を辿っています。

それに続くようにオーストラリアドルも下落。こちらは中央銀行が利下げを続けていることによります。最大輸出国である中国の景気減速を受けて、オーストラリア中銀は景気回復のために政策金利の引き下げを続けています。

では、米ドルはというと、これまた通貨レートを引き下げたい事情がいくつもあります。長らく続いている好景気でドルインデックスは上昇の一途を辿っていますが、このままでは輸出面で競争が不利に働きます。自国経済を強めたいトランプ大統領ですから、アメリカ産業の輸出競争力には神経質にならざるを得ません。それを裏付けるかのように、政権運営者からはたびたびドル安を望む声が挙がっています。

なにより、米国株を一段高とするためにはドル安の条件が欠かせません。2012年に始まった米国の量的緩和を受け、上昇を続けてきた米国株ですが、同時に上昇した米ドルレートの高さから割高感が出ています。この米国株を暴落させずに割高感を解消するには、ドル安以外の材料がありません。そんな訳で、2019年に入ってから米国からも通貨安を望む声が挙がり始めました。

以上を踏まえて、2019年は先進国の通貨安競争が始まる年だと考える次第です。日本円に至っては言わずもがなですね。投資業界では円安=景気上昇が暗黙の了解となっています。

FFレートの引き下げで米ドルが下落する理由

そんな米ドルの通貨レートを引き下げる要因ですが、こちらもまた市場観測がなされています。米FRBによるFFレート(政策金利)の引き下げです。

なぜ、FFレートが引き下げられるとドルが下落するのか?

理由はいろいろとありますが、ひとつの要因として金利通貨として米ドルの魅力が失われるというメカニズムがあります。

現在のFFレートは2.5%です。このレートを元に換算される米ドルのスワップポイントはおよそ80円弱(10,000通貨あたり)です。一時の豪ドルの運用利回りに匹敵するほどの価値があるのです。つまり、米ドルは持っているだけで利回りはあるわ上昇するわで、金融機関にとってドル箱となる金融商品になっているのですね。

しかしながら、FRBが政策金利を引き下げればその分だけ米ドルの利回りは減少します。まだまだ魅力的な米ドルではありますが、その魅力の一部が失われるということで手放す投資家も出てくることでしょう。これにより米ドルの為替レートは下落するものと考える訳です。

米FRBの利下げで米国株にバブル到来か

米ドルが下落すると書きましたが、米国株の方は却って上昇することでしょう。というのも、一般に政策金利が引き下げられれば市中の銀行からの借り入れ金利も引き下げられるからです。このため、企業や事業家は資金を借り入れやすくなり、景気は上向きになると言われています。少なくとも、現在の市場参加者はそうした見方をしています。

この資金の借り入れをしやすくなるのは、一般の事業者ばかりでもありません。ヘッジファンドのような投資機関についても同様のことが言えます。その結果、ヘッジファンドの資金も潤沢になり、ますます投資に勢いがつくというメカニズムも成り立つ訳です。

米国NYダウの長期チャートからバブルを予想する

上記はNYダウの長期チャートです。御覧の通り、長らくレンジ相場を続けてきました。この状況で利下げ、株高が実現するとどうなることでしょう。そう、レンジを抜けてオーバーシュートするというのが基本の見方になります。バブルの到来です。

もっとも、米国は金融緩和を終え、遅かれ早かれリセッション(景気後退)が訪れる状況にあります。景気後退でも株高ですから、経済の実態とは乖離が生ずることでしょう。悪い意味でも、米国株にはバブルが来ると考えます。

バブルと言えば、弾けるものです。まあ、そのバブルがはじけるのはもう少し先の話になることでしょう。そこから先はまだ考えなくとも良い問題だとも思います。

トランプ大統領の任期と照らし合わせてみると

今回、こんな相場観を持つに至ったのには経済と別の理由もあります。トランプ大統領の任期です。

トランプ大統領の任期は2021年1月までです。本気かどうかは知りませんが、本人は再選を望んでいます。ということは、選挙キャラバンが始まる2020年にはそれなりの材料を揃えておかねばなりません。今年2019年はトランプ大統領にとっても山場となる年なのです。

トランプ大統領にとって、支持率を上げる方法は明確です。景気を上向かせることです。移民問題の解消やメキシコとの壁を作るといったコミットメントもありますが、それらは枝葉末節の問題に過ぎません。本質的に米国の国民が望んでいることは景気上昇以外にありません。その指標となりうるのがNYダウに代表される米国の株価指数という訳です。

冒頭にも書いた通り、NYダウをもう一段上の価格帯に押し上げるためにはドル安要因が欠かせません。そして、そのためにはFRBによる利下げが必須条件となっています。トランプ大統領はかねてから昨年のFRBによる利上げを批判していますが、こうして考えてみると、利下げを望んでいるという本心が浮き彫りになってくるとも思えます。

そんな訳で、トランプ大統領の心中を慮ってみても、やはりドル安・株高のシナリオが見えてきたという次第です。

消費税増税で日本株の上値は重いか

最後に日本株についても少し触れてみたいと思います。ここまで書いた通り、米国株は上昇するとの予想を立てました。では、日本株はどうでしょう。

基本的には米国株に牽引される形で日本株も上がると思います。ただ、目先の材料を見る限り、日本株にバブルはレンジチャートの域を出ないんじゃないかと思います。管理人のここからの日経平均予想はレンジ局面入りです。

消費税増税で日経平均の上値は重たいか

理由はいくつかありますが、やはり大きいのは消費税増税です。有名投資家やトランプ大統領からは疑問の声が挙がっているようですが、それでも与党は消費税増税を延期する様子がありません。すると、やはり日本の内需には影を落とします。

炎上要因になるので政治問題への多くの言及は避けたいとは思いますが、やはり消費税増税でも株高というシナリオには無理があります。この1年はどこかで頭打ちとなるのではないでしょうか。まあ、巷で言われているような景気後退の局面にはならないと思っています。その分だけ、楽観主義であるとも言えるでしょう。

そんな訳で、日本株はレンジの下限の日経平均20,000円付近で買い。これが管理人の2019年の投資方針です。

おまけ

投資方針なんて書きましたが、結局のところ管理人はシステムトレーダーであったりします。投資家として相場観を持つものの、あまり裁量が入る売買はしませんね。「多分、逆張りトレードが輝くだろうなぁ」くらいの気持ちで相場に臨んでいます。

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