今回は、株式取引の観点から、マイナンバー制度の導入が与える影響を考えます。マイナンバー関連として上がりそうな銘柄とその根拠。そもそもマイナンバー制度ってなんぞやという所から説明していきます。
2015年10月。日本にとうとうマイナンバー制度が導入されます。制度対応のために、社員情報を管理する企業は全て、ITインフラの再構築が必要です。実は、このマイナンバー特需に伴い、ちょっとしたバブルの兆しが現れているんです。IT企業の中でも、特に労務管理ソリューションに強い一部の会社に新規受注が集まっています。
以下には、マイナンバー制度の恩恵を受けて上昇するであろう銘柄を管理人がチョイスしました。さあ、マイナンバーバブルがやってくるぞ!
- マイナンバー制度とITバブル
- マイナンバー銘柄をチョイス
- ITBook(3742)
- 大興電子通信(8023)
- シーイーシー(9692)
- 今後の株高バブルの展望は
Contents
マイナンバー制度とITバブル
マイナンバー制度について、最初におさらいしておきましょう。マイナンバー制度とは、国民一人一人にIDを割り振って情報管理を行おうという政府施策です。IDに紐付けられた給与支払いや納税状況などの情報が、民間企業と公的機関で共有されます。今年10月から導入が予定されていて、民間企業のIT担当者が対応に追われています。
なぜ、民間企業のIT担当者が対応に追われるのか?
ポイントとなるのはココ。21世紀の現代では、情報管理はITインフラ利用が必須です。今回のマイナンバー制度も例外ではなく、制度導入に伴って、個人情報を管理するソフトとセキュリティ環境が必要になります。今では社内でソフトを開発するような企業は皆無ですから、必然的にIT企業に新たなソフトやソリューションの開発を発注する必要が生じる訳です。
ソフトを導入する企業のIT担当者も必死です。それは、マイナンバー制度に伴う個人情報の機密管理に課題があるためです。制度導入により、民間企業は社員個人のIDとそれに付随する個人情報を手元に置くことになります。当然ながら、個人情報保護の観点から、秘密漏洩は許されません。マイナンバー制度が特異な点は、万が一、個人情報を漏洩した場合、それに係わった関係者に刑事罰までが与えられる可能性があることです。
マイナンバー銘柄をチョイス
大枠としては、会計ソリューションに強みを持つITベンダーに需要と発注が集まると考えます。既に業界ではプチバブルが来ると言われていて、不景気になって久しいIT業界から景気回復を臨む声が上がっています。
既に受注争奪戦は始まっていて、「マイナンバー」の検索ワードでググるとセールスHPが山のように出てきます。今回は、こうした検索結果から株式を上場する企業をピックアップし、管理人の解釈を加えて紹介していこうという魂胆です。
前置きが長くなったので、管理人の考えるマイナンバー銘柄を紹介していきましょう。ポイントとしたのは、小型・中型の銘柄に的を絞ったことです。
IT業界はピラミッド構造ですので、マイナンバー対応のソフトやインフラの開発・販売を取りまとめるのも富士通や日立などの東証一部級のIT企業でしょう。ただ、こうした大型銘柄は複数の事業を抱えていて、マイナンバーの恩恵に伴う株高のうまみが薄れてしまいます。むしろ、中小規模の企業に的を絞って選定した方が、尖った利益を出せると考えました。
という訳で、銘柄紹介です。
ITBook(3742)
HPを覗くと、もろに「マイナンバー対応ソリューション」を全面に押し出しています。主な事業?知りません。ともかく、マイナンバー銘柄であることは確かです。
チャートを見ると、4月の年度始めから既に株価が暴騰しています。今年のテーマ銘柄として注目が集まったのでしょう。マイナンバー銘柄=株高という図式がぴったりはまる形です。
問題は、どこで買うかという話でしょう。まあ、25日移動平均線を見ての押し目買いが妥当でしょう。後述しますが、まだまだマイナンバーバブルは始まったばかりです。
大興電子通信(8023)
いくつかのグループ会社を抱える中規模のIT企業です。横文字の多いIT業界では珍しく漢字社名を採用しています。チャラさが目立つIT業界の中では、若干、お堅い感じがします。
企業のHPに行き「マイナンバー」でサイト内検索をかけると、いくつかの取り組みが見えてきます。セミナー開催や展示会出展などの取り組みを行っている所を見ると、相応の販売努力を払っていることが分かります。主力製品は「マイナンバーセキュリティ管理『セキュリティアプライアンスサーバ』」だそうです。
こちらもやはり、年度始めから株高の様相を呈しています。ただ、決算短信を見る限りでは、昨年度の売り上げは受注減となっていて、まだ材料が出揃わない状況と言えます。マイナンバー銘柄の中でも、つまりは「出遅れ感」がある銘柄です。PERも未だ8倍程度と割安感もあります。管理人は「買い易さが残っている」と考えます。
シーイーシー(9692)
ここで規模を移して、東証一部銘柄です。同社はトータルソリューションのIT企業とアピールしてますが、要はERP(業務基幹システム)を開発するメーカーですね。ソフトウェアベンダーでしょう。やはりマイナンバー対応システムも手がけています。
ポイントとなるのは、同社は既に業績が上向きという点ですね。アベノミクス以降の企業の投資需要を取り込んでいるのでしょう。それを反映するかのように、株価チャートも上向きです。ここにマイナンバー需要が加わるとサプライズがあるかもしれません。
対象とするサービスが複数事業に跨がっているので、マイナンバー需要の恩恵は少し薄まってしまうかも知れません。ただ、IT分野の景気底上げも期待されるので、安定して緩やかな株高を望む方には面白いと思います。一部上場なので、日経平均株価指数の上昇もプラスに働きます。
今後の株高バブルの展望は
以上の通り、管理人の考えるマイナンバー銘柄をピックアップしてみました。既に上がっている株、これから上がりそうな株。ご自身の投資スタイルに合わせて選定されれば良いと思います。
今後の展開について付け加えると、本格的な株高となるのは企業の決算に増益が反映される9月以降だと考えます。マイナンバー制度の導入が10月ですから、その頃に市場のホットトピックスとなることでしょう。増益が完全に織り込まれて、株価が頭打ちになるのは3月の年度末決算あたりでしょうか。株価は期待で動き事実で売られるものですから、材料が出尽くすまでチャートは上向きが続くと予想します。
マイナンバー銘柄はインバウンド銘柄と併せて、2015年の注目投資テーマです。既に半年を過ぎた6月のこの時期。出遅れ感は否めません。しかし、まだまだ「あんこ」は残っています。尻尾をくれてやるのはもう少し先の話でしょう(※)。
※「頭と尻尾はくれてやれ。あんこたっぷり食えりゃいい。」 株価上昇のおいしい所さえ取れれば、上がり始め(頭)と上がり終わり(尻尾)は見逃しても良いという相場の格言。
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