株システムトレードで破産しないリスク分散[連載第5回]
- 2018/9/7
- システムトレード
- イザナミ, システムトレード
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株システムトレードの連載第5回。今回は資金管理について解説したいと思います。
勝てるルールさえあれば儲かる。システムトレードでは、そんな誤解が広がっています。しかし、どんな売買ルールでもリスク管理の方法をひとつ間違えると大きなドローダウンに見舞われます。例えそれが勝率70%のシステムであったとしてもです。何よりも重要なのはやはりリスクを分散させることです。
そんな訳で、今回もシステムトレードソフト「イザナミ」を使って、売買手法の資金管理を検証したいと思います。
- 同じ売買ルールでも資金管理で大きな違い
- 負けないためのリスク分散の方法とは
- レバレッジの設定について
- 銘柄のリスク分散と投入資金について
- 指値買いルールの最適分散投資手法
- 連載まとめ
Contents
同じ売買ルールでも資金管理で大きな違い
最初にイザナミで出力した2つの検証結果をお見せしましょう。両方ともに前回の連載まででご紹介した同じ売買ルールを利用します。まず一つ目は上手な資金管理を設定した例です。
ご覧の通り、資産曲線は右肩上がりとなりました。勝てる売買ルールに加えて、負けない資金管理ができた例です。この設定方法については、後ほど紹介していきましょう。
一方では、以下のようなダメな資産曲線を描く結果も出ています。繰り返しになりますが、以下の例も同じオリジナル手法を利用したシミュレーション結果となっています。
2つのシミレーション結果は、その違いが一目瞭然です。いい加減な資金管理と負けない資金管理でこれほどの差が出るのです。その根本的な差は上手なリスク分散ができているかどうかという点に絞られます。
負けないためのリスク分散の方法とは
個別株のシステムトレードで負けない資金管理をする方法。それはリスク分散に限られます。例え検証結果で良好なプロフィットファクターを誇る売買ルールを選択しても、リスクテイクの方法を間違えただけで破産する可能性もあるのです。
では、上手なリスク分散の方法とは何でしょう。管理人は以下のように考えます。
- 売買ルールに適したレバレッジを設定している
- 程よい数の銘柄群に資金を分散させている
レバレッジの設定について
一つ目はレバレッジの設定方法です。株式では信用取引を使って最大3倍までレバレッジを利かせることが可能です。しかしながら、レバレッジは諸刃の剣です。売買ルールが持つポテンシャルを超えて高いレバレッジを設定すると、残念ながらシミュレーション結果は「破産」という状況を示します。シミュレーション上であればまだマシかも知れません。実運用で高すぎるレバレッジを設定すると、現実世界でも破産の憂き目に遭う可能性があります。
本質的には、レバレッジの大小は売買ルールの性格が決めることが多くあります。具体的には、売買ルールの勝率と売買のタイミングです。大体の傾向として、やはり勝率の高いルールほど破産確率は縮小します。ただし、勝率が高くとも売買のタイミング=ルールの性格がうまくマッチしないと、やはり大きく建て玉を張ったタイミングで大負けを喫します。
勿論、売買ルールの相性が良ければレバレッジ3倍で運用することも可能です。ただし、最適分散投資の検証でかなりの試行錯誤が必要になることでしょう。こればかりはシミュレーション上で確認するしかありません。この点、手軽な操作でシステムトレードの検証ができるイザナミ(スポンサードリンク)はよくできたシミュレーションソフトだと思います。
特に近年の株式業界はリーマンショックを経験しています。このリーマンショックを超えられるルールを作ることができるかどうかが一つのカギです。前述のダメな資金管理の例も、例外なくリーマンショックで大きなドローダウンを喫しています。
銘柄のリスク分散と投入資金について
もうひとつ重要な点は、システムトレードでも投資銘柄の分散がそのままリスク分散になることです。やはりシステムトレードは確率論の世界ですから、多くのトレードの中にもダメなトレードや悪いタイミングが混ざってきます。それでも売買銘柄を広く選択していれば、トータルで勝つことができるのがシステムトレードの醍醐味です。ルールの優位性をうまく引き出すためにも、売買銘柄は広く浅く選択することが重要です。
シミュレーション上では、一つの銘柄に投資する金額を少なく設定することがポイントです。もっとも、投入資金が少なすぎると高くて買えない銘柄が出てきますから、やはり適度な金額設定を探し出す努力が必要です。
個人的には、単価の高い大型株を切り捨ててしまうのも一つの選択肢だと思います。そんな訳で、管理人は一つの銘柄に投入する金額の上限を60万円に設定しています。
指値買いルールの最適分散投資手法
前述の通り、リスク分散のコツを紹介してみましたが、ここで実際の設定例を見てみましょう。以下は、管理人が「良い例」の検証で利用した最適分散投資の設定画面です。
ご覧の通り、この資金管理設定ではレバレッジ3倍を適用しています。これはたまたまと言いますか、利用しているルールの相性が良かったためです。場合によっては、勝率70%の売買ルールでも大きなドローダウンを喫することがあるも当然あります。あくまで試行錯誤の結果だと思ってください。
もう一つの投入資金については前述の通り、最大60万円を上限にしています。イザナミでは色々と設定できるのですが、管理人はこのスタイルを気に入っています。勿論、管理資金が大きくなれば相応の工夫が必要になるのですが、それは今後の課題にしておきたいと思います。
今回利用した指値買いの売買ルールは連載を通じてご紹介しています。参考にしたい方は、連載を通じて設定してみてください。リンクを次章に貼っておきます。
連載まとめ
という訳で、今回はリスク分散と資金管理の設定方法まで公開していまいました。既にイザナミをお持ちの方は追証をして頂いても構いませんし、まだお持ちでない方は是非購入してルール開発の参考にして頂きたいと思います。
参考:株システムトレードの検証ソフト「イザナミ」(スポンサーリンク)
今回利用した売買ルールを知りたい方は、連載を第一回からご覧になってください。勝てる売買ルール作りをテーマに連載を展開しました。第一回から順に設定していくと売買ルールが作れる仕組みになっています。
- 連載第1回:イザナミで使える売買ルールを作る
- 連載第2回:イザナミでATRを使った売買ルール
- 連載第3回:フィルタを使って売買ルールの勝率アップ
- 連載第4回:株システムトレードの利益確定ルールを再考する
今後は、少しづつシステムトレード開発で気付いた点などをブログに書いていきたいと思います。まったり進行ですので、興味のある方は気長にお待ちください。以上、株システムトレードの開発プロセスのご紹介でした。
コメント
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最終回まで、イザナミを使って検証しました。知識のない私にはとても思いつかない方法で、大変参考になりました。ただ、シグナルの出た銘柄のほとんどが指値未約定で、実際には買うことができません。このことについて、ご見解をお聞かせください。
はい、指値未約定で買うことができないという話ですね。
仰る通り、指値注文を入れると約定しないことが多々あります。この約定する確率のことを「約定率」と言います。
約定率の大小はストラテジーの種類にもよります。非常に幅があります。管理人の実運用で使っているストラテジーでも約定率30%程度のものもありますし、8割がた約定するものもあります。一概にこれくらいと言うことはできません。
約定率を上げる方法はいくつかあるのですが、簡単には指値の注文を浅く入れることです。これで約定率は上がります。ただ、利益や勝率がその分だけ減ってしまいます。この辺りはご自身のトレードスタイルとの相談になります。
ご紹介しているストラテジーは、あくまでサンプルです。あまり作りこんでいませんが、逆に言えば改良の余地はいくらでもあります。
条件式を改良して約定率を上げるも良し。指値を浅くしてシグナルの数を優先するも良し。あとはご自身で改良をがんばってみてください。