イザナミで売買ルールを作る実習の解説。今回はATR(アベレージトゥルーレンジ)を使った押し目買いのルールを作成したいと思います。
ATRは株式業界ではマニアックなチャート分析ツールです。ただ、システムトレードの世界では重宝する指標でもあります。というのも、日々の値動きを大雑把に捉えることができるためです。今回は、前回のルールの改変を交えて、ATRとケルトナーチャネルを利用した売買ルールを作りたいと思います。
という訳で、連載第2回のテーマは「ATRを使った押し目買い」です。
- 売買ルールに便利なATR
- イザナミでケルトナーチャネルを利用する
- ケルトナーチャネルを利用した売買ルール
- まとめと次回予告
売買ルールに便利なATR
売買ルールを作ろうという訳で、連載第1回では移動平均乖離率を使った売買ルールを作成しました。今回は、この売買ルールを少し改良してみようと思います。ATRを使った方法です。結果論ですが、こちらの方が後々うまくいきます。
ATRですが、これは日々の値動きからその株式銘柄のボラティリティを割り出す指標です。この数字が大きいほど値動きが荒いものだと思ってください。詳しいことは、本筋から外れるので割愛します。まあ、ちょっとGoogleで検索すれば難しい解説が山ほど出てきます。
今回紹介するルールを端的に言いますと「ATR基準で乖離の進んだ銘柄を買い上げる」という押し目買いの戦略です。ルールは以下の通りとなっております。
- 買いのルール
終値が「25日移動平均線 - 5×ATR(30日)」以下になった銘柄を翌日成行で買う。
- 売りのルール
終値が建値+10%になったら翌日成行で売る。
- 損切のルール
建値-10%に逆指値の売りを入れる。
イザナミでケルトナーチャネルを利用する
補足の説明をしましょう。まず「25日移動平均線 - 5×ATR(30日)」ですが、これはケルトナーチャネルと呼ばれる包括線のことを指しています。図で表すと以下の通りになります。
考え方としては、エンベロープやボリンジャーバンドと同様で、売られすぎを表す線を指しています。要は、この売られすぎの線を越えた銘柄を買いにいこうという話です。
イザナミでケルトナーチャネルを設定するには「ユーザー定義指標」を利用する必要があります。設定から「ユーザー定義指標を利用する」にチェックを入れてください。
ケルトナーチャネルのユーザー定義指標は以下の図の通りになります。前述の式の通り、25日線から5倍のATR(30日)をマイナスした値を利用します。30日というのは、ATRの算出期間です。お好みで25日でも50日でも構いません。
ケルトナーチャネルを利用した売買ルール
前置きが長くなりましたが、売買ルールのセッティングをしてみましょう。イザナミで以下のSS通りに仕掛けのルールをセッティングしてください。
手仕舞いのルールは前回から変更していません。以下のSS通りで、+10%で利益確定・-10%で損切りです。
では、検証してみましょう。検証結果は以下の通りです。
まとめと次回予告
という訳で、今回はケルトナーチャネルを使った売買ルールを紹介してみました。この複雑なルールを使うメリットは、リーマンショック後のドローダウンを抑えることができる点ですね。ネタバレになってしまうのですが、前回のセッティングのままだとリーマンショックで大きな損失を出してしまいますのですよ。管理人は、あれやこれやと試行錯誤する中で、このケルトナーチャネルを使ったルールに辿り着きました。結果論ですが、こちらの方がうまくいきます。
ただ、やっぱりまだ完成形ではありません。シグナルの数が多すぎますし、資産曲線が荒っぽくうねっています。この問題に対する対処は、売買ルールの改良に尽きますね。フィルタと指値買い、そして資金管理をうまく使うと対処することができます。
という訳で、次回はフィルタと指値買いを使った売買ルールの改良について論じたいと思います。完成形になるまで、もう3回ほどお付き合い頂ければ幸いです。
連載第3回:イザナミ売買ルールにフィルタ追加で勝率アップ
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