東証一部指定条件を根拠に昇格銘柄を予想する

東証一部指定条件を根拠に昇格銘柄を予想する

今回は、管理人の考える残りの東証一部銘柄を予想していきたいと思います。四季報を使って東証一部指定条件を満たす銘柄をスクリーニングした中からのチョイスです。予想銘柄にコメントを加えるので、具体的なノウハウを汲み取ってもらえればと思います。2015年4月現在の情報です。

  1. 東証一部昇格候補を検索
  2. 2015年4月現在の条件充足銘柄
  3. マザーズ銘柄の昇格予想
  4. 昇格予想銘柄とコメント
  5. 一部指定予想で買う時の注意点

東証一部昇格候補を検索

東証一部市場への新規上場が3月までに相次ぎました。指定条件を満たす企業が年末の時期から東証への打診を始めて、年度内に昇格審査が通ったと見てよいでしょう。決算が相次ぐ12月から3月に材料の揃った企業が、東証へ審議を申し込むケースが多いと考えます。ただ、審議を申し込む期日が決まっている訳ではないので、残った昇格候補にも、未だに期待が持てます。

昇格予想を始める前に、予想の根拠となる「東証一部指定条件」なるものをご紹介しましょう。東証一部指定条件とは、東京証券取引所が定める審査基準です。上場企業が下位市場から東証一部に上場するためには、東証に審査を申し込み、その審査基準をクリアしなければいけないのです。少なくとも、審査基準を満たさない銘柄は、予想の候補から外れます。

主だった審査基準は、以下の通りになっています。

  • 株主数(指定時見込み)2,200人以上
  • 流通株式数(指定時見込み)2万単位以上
  • 売買高200単位以上
  • 時価総額40億円以上
  • 最近2年の経常利益の合計5億円以上

厳密に言うと、他にも細かな条件や例外が規定されています。詳細は、下記の記事を参考にしてください。

参考記事:東証一部の昇格条件と予想判断の基準

上記の東証一部指定条件に則って検索をし、昇格候補を機械的に絞り込んだというのが、今回の企画です。検索には、CD-ROM版四季報のスクリーニング機能を利用しました。3月に春号が発売されたので、改めて時間を取って見直してみたのです。

今回は、管理人のスクリーニング結果を公表します。ですが、読者の方々にも自身でスクリーニングを掛けることができるようになって欲しいところです。個人の裁量で、多少のさじ加減を加えて検索する必要がある条件もあるためです(株式流動性の多寡や変化など)。参考までに、四季報のスクリーニングの方法は、以下の記事をどうぞ。検索の条件式等、多少突っ込んで解説しています。

参考記事:四季報CD-ROMで東証一部昇格銘柄をスクリーニング

2015年4月現在の条件充足銘柄

前述の四季報スクリーニングを利用して、検索を掛けた結果が以下の画像です。画像は、クリックすると拡大表示されます。ただし、検索結果に記載されている銘柄のデータは、四季報の著作権に触れるので塗りつぶしています。

東証一部昇格候補一覧2015年4月

東証一部昇格候補一覧2015年4月

東証一部指定条件を完全に満たす銘柄は、最新のデータで計75銘柄となりました。中には、ソディックやミクニなど、4月現在で東証一部への昇格が既に決まった銘柄も含まれています。四季報のデータが3月発売時点のものなので、一部指定後の現在も、検索結果に表示されてしまのですね。まあ、この方法論があながち的外れではないという意味に受け取ってもらうと嬉しい間違いです。

東証一部昇格候補を探す手順としては、候補一覧から本命銘柄をチョイスしていく作業になります。ここからは、経験や雑多な情報が頼りになります。もっとも勘ばかりに頼らずとも、株主数や流動性を増やすイベント、東証一部指定への意欲などの材料があれば、予想の確度が高まってきますね。

  • 株主優待の新設や立会外分売(ともに株主数と流動性の増加)
  • 一部昇格意欲の表明(IR情報など)
  • 時期的な要因(上場○年や決算直後など)

これらの東証一部指定を連想させるイベントがあったのなら、要チェックですね。

マザーズ銘柄の昇格予想

管理人の考える東証一部昇格予想を語りましょう。東証2部とJASDAQ銘柄は難しいので、今回は無難にマザーズ銘柄から選びます。マザーズ銘柄は成長意欲旺盛な中型株が揃っているので、他の市場に比べると昇格意欲が高いと言えるためです。

2015年4月現在で昇格の期待値が高いと考えるマザーズ銘柄は、以下の通りです。

東証一部昇格予想マザーズ銘柄2015年4月

東証一部昇格予想マザーズ銘柄2015年4月

検索条件に手を加えてやれば、2部市場やJASDAQ市場、地方市場の銘柄も絞り込めます。ただし、東証2部市場の銘柄は滞留期間が長い傾向があるので、指定時期の予想が困難です。同じく、JASDAQ銘柄は数が多すぎて難しい所です。地方銘柄に至っては、そもそも昇格の意図があるのかすら怪しい銘柄ばかりです(最近では、産業創製で地方発の銘柄も増えてきましたが)。

したがって、マザーズ市場以外の市場銘柄は、今回、無理に予想を立てません。というより、諦めてスルーしてもよいとすら考えます。あえて予想が立つ機会が出るとすれば、立会外分売を行って流動性・株主数を増やしたり、業績が好調で増配したりしている「目立つ」銘柄ですね。例えば、先日に一部指定を受けたばかりのミマキエンジニアリング(旧JASDAQ銘柄)は、立会外分売があったので管理人も予想をできていました。

昇格予想銘柄とコメント

1月から3月にかけては、東証2部市場の古株の候補が一通り昇格しました。残った新鋭のマザーズ銘柄の昇格に対する期待値が高まると考えます。いくつかの予想している候補銘柄について、少しコメントを加えていきましょう。東証一部昇格を見通す際のニュアンスを読みとってもらえれば幸いです。

オイシックス

まだIPO(新規上場)の記憶が残るこの銘柄。基本的に、マザーズ銘柄は成長意欲旺盛なので、指定条件を満たせばいつでも上場申請をすると考えます。3月で、上場丸2年を迎えたので、もう昇格を考えて良い時期でしょう。ただし、時期に関しては9月の本決算までずれ込むかもしれません。

問題があるとすれば、マザーズ市場は価格の上下動が激しいことでしょうか。仕込み所を間違えると高値掴みをしてしまいます。東証一部昇格予想というのは、可能性は分かっていても、時期まで明確にするのは困難です。推奨するなら、6月の買いでしょうか。今年も来るであろう5月売り(セルインメイ)の後も昇格していなければ、長い目で見て、安値で拾ってもいいかなと考えます。

オークファン

オイシックスと同じく、4月で上場2年を経過します。1部指定を受けるとすれば、タイミング的に4月~7月が濃厚でしょうか。7月まで時期がずれこむのは、仮に4月に審査を申し込むと実務で3ヶ月の審査期間が必要であるためです。

4月にとりあえず買ってみて、5月売りの前に処分。下がった所で、安値を拾っておき、7月の夏休み前の下落時期までホールドしてみる。そんな戦略が思いつくところです。

ミクシィ

知名度、規模共に東証1部にいてもおかしくない銘柄です。1部指定の条件は、とっくに満たしています。サイバーエージェントの例もあるので、同じIT銘柄としては、期待値が高まる所でしょう。もっとも、サイバーエージェントのケースとは、状況が異なります。詳細は、以下の記事を参考にしてください。

参考記事:サイバーエージェントと東証マザーズの10年ルール

懸念があるとすれば、株価の上下が激しいことと、社長の現在のワンマン経営に対する評価が芳しくないことでしょうか。株主からの干渉を嫌い、経営層が一部指定を避けている可能性が危ぶまれます。

ワイヤレスゲート

残念ながら、こちらはしばらく東証一部に昇格しません。インサイダー取引の指摘を受けて、自粛しているためです。実は、すでに一部指定の審査を申し込んでいたようですが、取り下げています。

N・フィールド

悔しい銘柄がこちら。実は記事を書き始めた直後に昇格が決まりました。「後出しだ」と言われればそれまでですが、一応、昇格条件のスクリーニングで拾えていたので、ご紹介しましょう。

前述のワイヤレスゲートと提携しているのが同社です。ワイヤレスゲートが一部指定審査を申し込んでいたので(前述)、関連のある同社も申し込んでいたのでしょう。もっとも、指定発表の時期に関しては、全くヒントがなかったのが難しい所でした。

一部指定予想で買う時の注意点

以上の通り、客観的なデータを見せつつも、詰まるところ、管理人の嗜好で東証一部昇格を予想してみました。正直な所、管理人はあまり昇格予想に基づいて銘柄を選ぶことあまりありません。保有期間が長い割には確度が低く、さらには昇格しても株価が2倍3倍になる訳ではないからです。基本的に、管理人は短期で確度の高いトレードを好みます。

同じ東証一部指定に関わるトレードなら、管理人は指定後のセカンダリー相場を狙っていきます。いわゆる「TOPIX買い」を狙った方法ですね。勝率に関しては、東証一部予想を当てるより高いのではないでしょうか。チャートを見ながら、TOPIX買い以前の安値を拾っていくと、高い確率で利益が出ます。

参考記事:東証一部指定銘柄の狙い目

今回、あえて昇格予想をしてみせたのは、5月売りが控えているためですね。5月は米国企業の決算時期に絡み、決算売りが相次ぐ傾向にあります。ここで安値を拾うのなら、東証一部指定への期待を込めて、長期保有と洒落込んでもいいのではないでしょうか。ちなみに、一昨年までは、この時期にみずほ証券が質の良い予想レポートを出していました。残念ながら、以降は止めてしまったようです。今回の企画は、その代わりという訳です。

冒頭に書きましたが、管理人はご自身で昇格予想をしてもらいたいと思います。Google先生に「東証一部 予想」あたりで聞けば、それっぽいブログは教えてはくれるのですが、大抵の場合は2次、3次の情報です。中には、当ブログのパクリサイトすら含まれていますね。そんな有象無象の情報を元に投資をしても、投資リテラシーは上がりません。

本サイトのポリシーは、目先の利益よりも長く儲ける投資力を身につけることです。ご自身でスクリーニングを掛けた方が、納得のいく投資ができると思いますよ。下記の記事をご覧あれ。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

フォローする

スポンサードリンク

ピックアップ記事

  1. 破産しないための株式リスク分散法
    株システムトレードの連載第5回。今回は資金管理について解説したいと思います。 勝てるルールさえ…
  2. 投資書籍をkindleで読む
    今回は、投資の勉強とAmazonの読み放題サービスKidle Ultimatedの相性の良さを語りた…
  3. 個別株CFDで日経225構成銘柄を売買
    今回は株システムトレードの少し限定された使い方をご紹介したいと思います。日経225銘柄に絞った運用ル…
  4. 個別株CFDで空売り規制銘柄を売る
    今回は個別銘柄を扱うCFD会社「IGマーケッツ証券」を使って、貸借銘柄以外でも空売りをする方法を紹介…
  5. ポーランドズロチ円を使ったFXサヤ取りの手法
    最近、ポーランドズロチ円を使ったサヤ取りの手法が話題を集めています。サヤ取りの元祖と言えばやっぱり株…
  6. 半年ほど前からシステムトレードを始めています。今回はいくつかの検証ソフトを使ってみた使用感と評価を述…
  7. 暴落相場を出来高から予想する
    アベノミクス以降、度々起こる日経平均の暴落。今回は、暴落の予兆を予め分析し、先物やETF、個別銘柄の…
  8. 500万円チャレンジスタート
    皆様、新年あけましておめでとうございます。この記事は2022年1月9日に書いています。 年が明…
  9. 売買ルールをイザナミでシステム化
    今回は株のシステムトレード検証ソフト「イザナミ」を使って売買ルールを作る手順を紹介します。 安…
  10. 株システムトレードの基本機能について
    株のシストレツールは何ができるソフトウェアか? 今回は上記の疑問に答える記事を書いていこうと思…

Twitter でフォロー

スポンサードリンク

GMOクリック証券CFD

【スポンサードリンク】株システムトレードのイザナミ

株システムトレードソフトイザナミ
ページ上部へ戻る