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立会外分売で買うべき銘柄の選定ノウハウ

立会外分売で買うべき銘柄の選定ノウハウ
立会外分売で買うべき銘柄の選定ノウハウ

このところ立会外分売の告知が続いています。幣サイトにも「立会外分売」のキーワードで訪れる人が多く、このイベントに注目されている方が多いことが分かります。

立会外分売というのは、株価をディスカウント価格で買うことができる機会ではあります。しかし実際の所、発行株式数の増加に伴い、希薄化が懸念される材料となります。基本は売りの材料です。

それでも折角のイベントなので、参加して利益が出る可能性はあります。では、立会外分売で買ったほうが良い銘柄というのは、どのような種類のものでしょう。今回は、東証一部昇格条件と信用売りの取り扱いに注目して、分売に参加しても良さそうな銘柄の条件を探っていきましょう。

  1. 立会外分売は売りの材料
  2. 信用売り残を踏み上げる
  3. 東証一部指定のための流動性向上
  4. 狙うは貸借銘柄と下位市場

立会外分売は売りの材料

最初に説明すべきは、そもそも立会外分売というのは基本的に「売り」の材料であることでしょう。理由は「株式の希薄化」というキーワードで語られます。立会外分売を行うと市場に出回る株式が増えてしまうため、元の株価に比べて1株当たりの価値が下がってしまうのです。

分売による株式価値の希薄化のイメージ
分売による株式価値の希薄化のイメージ

上図の通り、株式の1株当たりの価値が薄まる現象を「希薄化」と呼びます。基本的には、立会外分売が行われると、この希薄化を懸念して株価は下落する傾向にあります。

立会外分売が嫌われる理由は、もうひとつあります。資金ショートの懸念が浮上することです。最近ではめっきり減りましたが、アベノミクス以前の相場では、倒産回避や経営建て直しのために立会外分売や公募増資で資金調達を行う企業が結構ありました。当然ながら、経営危機が懸念される訳です。この場合、建前上は「企業の成長を促すため」という理由で立会外分売が行われます。この建前が本音と一致するようになったのは、アベノミクス以降の話です。

ディスカウント価格で買うことができるとは言え、立会外分売の本質は買い手に不利なイベントです。分売に参加するにしても、買うべき銘柄は慎重に選ぶ必要があります。

信用売り残を踏み上げるケース

前述の通り、立会外分売は売りのイベントです。分売を実施する銘柄が貸借銘柄(信用取引で空売りをできる銘柄)であれば、空売りが殺到します。当然ながら株価は下落し、分売の割引価格で手に入れたところで、さらに株価は下落します。決して、お得に買える機会ではありません。

唯一、分売実施日までに信用売りが積み上がった場合は様相が異なります。信用売りは短期取引です。売った銘柄は買い戻さねばなりません。この買い戻しの値動きがが立会外分売日以降に始まります。

買い戻しが始まる理由は、逆日歩の発生と材料出尽くしです。立会外分売を理由に空売りが殺到すると、貸し出しを行う株式が不足して、支払い金利が発生します。この支払い金利を嫌った投資家が徐々に空売りを買い戻し始めます。さらには、分売実施日を過ぎた所で空売りする材料がなくなり、「出尽くし」の理由で買い戻しが始まります。

立会外分売が行われる際、実施する銘柄が貸借銘柄であり、なおかつ信用売り残が積み上がっている。この限られた状況であれば、立会外分売に参加するのはアリの選択肢です。短期で値戻しを狙うことができます。

上位市場指定のための流動性向上を狙うケース

長期に保有するという視点でみた場合、立会外分売は別の側面が見えてきます。東証一部指定条件への適合です。東証一部を含む上位市場に指定されるための条件の一つに、「一定量の流動性があること」が求められるのです。この流動性を確保するために、立会外分売が実施されることがあります。会社やオーナーが保有する株式を市場に流すのです。特に、オーナー企業や同族経営など、特定株主比率の高い銘柄がよく行います。

参考記事:東証一部指定条件を根拠に昇格銘柄を予想する

東証一部や上位市場への鞍替えが予想される場合は、長期的に株価が伸びる傾向があります。他の東証一部指定の適合条件を満たしている場合は、昇格のための立会外分売であると考えてよいでしょう。株主数2200人以上で売上高5億以上をキープしているなら可能性は濃厚です。

例えば、ミマキエンジニアリング(6638:旧JASDAQ銘柄)という会社。この会社は、1年6ヶ月前に立会外分売を実施しています。それが最近、東証一部市場に昇格したのです。当然ながら、前述の東証昇格条件に適合していました。業績好調と東証上位市場への期待で、株価はこの1年伸び続けました。

ミマキエンジニアリングの株価推移
ミマキエンジニアリングの株価推移

狙うは貸借銘柄と下位市場

以上の通り、立会外分売と注目すべき銘柄の考え方を述べました。まとめたいと思います。

買って良い条件1:貸借銘柄で信用売り残が増えている

立会外分売を材料に、空売りが積み上がっているようなら買いもありです。逆日歩解消や材料出尽くしで、短期的な戻り相場を狙うことができます。

買って良い条件2:東証一部指定の条件を満たしている

株主数2200人以上、営業利益5億円キープしているようなら東証一部指定の夢を見ることができます。もっとも、長期保有が前提です。直近のトレンドが悪いようなら分売イベントはスルーして、チャートの底値を拾う方が無難です。

この記事を書いている2015年2月の現在、いくつかの銘柄で立会外分売の公告が出されています。以下にまとめてみました。ちょっと考えてみて下さい。

銘柄名 証券コード 貸借比率 上場市場 株主数 直近営業利益
スターティア 3393 1.85倍 東証一部 1755名 8.2億
マサル 1795 信用売りなし JASDAQ 512名 2.9億
ヨシックス 3221 信用売りなし JASDAQ 5名 3.7億
イデアインターナショナル 3140 信用売りなし JASDAQ 2496名 0.4億
SDエンターテイメント 4650 15.85倍 JASDAQ 2701名 2.6億
芝浦電子 6957 2.04倍 JASDAQ 1515名 13.6億
日本ピラー工業 6490 4.11倍 東証一部 2027名 29億

個人的には、スターティアと芝浦電気に限れば分売参加もありかなという印象です。前者は、信用売りの増加。後者は、将来の上位市場への期待度。それぞれが買いの材料になります。それでも純粋に分売の勝率で言ったら、イメージは「7:3でやっと勝ち」くらいでしょうか。株式のセールスイベントとはいっても、値上がりしそうなチャンスは少ない訳ですね。今後の参考にしてみてください。

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  • コメント ( 8 )
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  1. 昇格要件について「株主数2200人以上で売上高5億以上をキープしているなら(…)」とありますが、株主数は2200人「前後」かなーと。株主数などの形式的要件が未達だから分売をするわけで。また「5億円」は売上高ではなく、純利益要件(直近2ヵ年(見込みもアリ)の経常利益の合計)かなと思います。

    昇格要件だけでなく、1部の銘柄で2部指定替えの形式要件(株主数2,000人未満)にかかりそうな貸借銘柄もけっこう強いと思います。掲表でいうと6490日本ピラー工業です。

    • >あぐさん

      コメントありがとうございます。やっつけ仕事はいけませんね。東証一部指定条件はご指摘の通りです。元祖小判ザメ投資法ですね。その辺の具体的な判別方法については、以下の記事に詳しく記載しています。

      東証一部の昇格条件と予想判断の基準

      ちなみに、管理人は立会外分売の買い否定派なので、東証二部狙いはスルーしてます。

      • こんにちは。ご返信ありがとうございます。

        「東証一部の昇格条件と予想判断の基準」拝見しました。

        同記事で「総資産額で判断する」と記載されているのは、
        「時価総額で判断する」が正しいかと思いますがいかがでしょうか。。
        時価総額の要件は40億円、純資産額の要件は10億円であって、
        総資産額は要件になっていないのではないかと思われます。

        ちなみに1部に直接上場する場合と他市場(JASDAQ、名・札・福)からの市場変更の場合は
        時価総額(40億円)ではなく250億円が要件になるので、直接上場・市場変更の場合はいったん2部に上場してから1部に指定替え、というパターンが多くなっていると思います。
        だから2部上場でも要チェックなこと、ありますよねー。

        • >あぐさん

          すいません。総資産ではなく、時価総額ですね。
          管理人は、単語ではなく、四季報の「ここらへんの」「これくらいの」数字という覚え方をしているもので・・・^^;

          たまに記事を見返すと、誤字脱字もあるんですよね。
          一度、時間見つけて見直してみましょうか。

          • そうですね、読む人が昇格要件を見誤るような致命的な誤字脱字や、昇格要件そのものを勘違いされている箇所は修正されたほうがいいのかもしれませんね。

            また「一部指定」と「市場変更」でも要件は異なりますので、条件を混同されている箇所は修正されたほうがいいのかもしれませんね。

            まあ、私はオフィシャルでないネットの書き込みはあまり信用しないので、直していただかくなくても全く何の問題もありませんが。

        • 2部上場も要チェックですね。

          IPO⇒マザーズ⇒2部⇒1部
          はある意味、王道パターンですね。

          1部指定までの期間が分かればよいのですが、いかんせん、目を離した隙に指定されていたりしますね。

    • あれ。よく見たら、日本ピラーは2部指定替えの目論見で買いですか。そこらへんの事情は知りませんでした。

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