取引高急増でトレンド転換を読み解く

取引高急増でトレンド転換を読み解く

今回は、株式チャートにおける取引高(出来高)の読み方と意味合い、そして相場心理を解説します。株価が高値をつけるときには、一時的に出来高が急増する傾向にあります。そこには、高値で売り切りたいとトレーダーと、まだ伸びると考えて買うトレーダーの心理的な駆け引きがあります。

取引高が急増した後は、振り返って見るとそこが転換点であったということが多々あります。底値もまた然りです。今回は、取引高の急増を見て利益確定をする、もしくは底値で拾う手法もご紹介します。

  1. 取引高の見方と意味合い
  2. 取引高を伴って上髭が出たら利益確定
  3. 下髭で取引高急上昇なら逆張りの買い
  4. 転換点で取引高が急騰する理由

取引高の見方と意味合い

始めに典型的な株価の転換点を示すチャートをご紹介します。以下の二つのチャートは、出来高の急増を伴って株価の頂点を付けた日本BS放送(9414)と、逆に取引高の急増で底値を付けた西松屋チェーン(7545)のチャートです。

日本BS放送(9414)株価のピーク

日本BS放送(9414)株価のピーク

西松屋(7545)の株価下落と底打ち

西松屋(7545)の株価下落と底打ち

チャートに書き込んだ通り、いずれの場合も株価のピークや底値で大幅な出来高の急増を伴っています。

チャートの見方として、出来高急増を伴ったら株価の転換点を疑うという考え方があります。さらにローソク足の形を合わせると、高い精度で転換点を予想できます。高値で上髭をつければ利益確定のポイント、下髭を付ければここから買いエントリーのポイントです。

取引高を伴って上髭が出たら利益確定

取引高急増で株価ピークを疑う

取引高急増で株価ピークを疑う

上髭というのは、株価が利益確定により押し戻された事実を示すローソク足です。ローソク足一本ではなかなかチャートを読むことはできないのですが、冒頭に示した出来高の急増を伴うと、精度が上がります。

とかく、トレードでの利益確定というのは難しいもので、なにがしかの根拠が欲しくなります。管理人は、このような取引高に注目して、利益確定を決めています。

例えば、以下のチャートは長らく上昇トレンドが続いたヤマダ電機(9831)の株価が頂点を打ったポイントを書き込んでいます。

ヤマダ電機(9831)株価チャート~利益確定の急所

ヤマダ電機(9831)株価チャート~利益確定の急所

長らく続いた上昇トレンドも、取引高の上昇とともに、一旦の幕を閉じました。賢い投資家は欲を張らず、ここで利益確定をする訳です。結果的に、再度の上昇トレンドを描いていますが、保有を続けていれば、利益が目減りしている間を悶々とした気分で過ごすことでしょう。むしろ、デキるトレーダーは押し目買いをして、より安い株価で仕込んでくることでしょう。

下髭で取引高急上昇なら逆張りの買い

同じく、下髭のローソク足で取引高が急騰したら、エントリーのチャンスです。大きな買い支えがあった証拠です。

取引高増で下髭を付けたらそこが底かも

取引高増で下髭を付けたらそこが底かも

この場合は株価が下落しても、安値で拾った投資家が多かったことを示しています。株価が急落するような材料が出ても、長くは続かないと踏んだ投資家がいたのでしょう。リバウンドからの値戻しを狙う、逆張りの買い手法です。逆張りの手法は利益こそ少ないものの、勝率だけは高いことがポイントです。

牧野フライス(6135)株価のリバウンドを狙うチャンス

牧野フライス(6135)株価のリバウンドを狙うチャンス

例えば、上記は牧野フライス(6135)の逆張りで利益が出たパターンです。この場合は、取引高が急上昇して下髭が出た日にリバウンドを考え始めます。翌日には、再度株価が下落して、底値で拾うチャンスがありました。920円付近でエントリー。利益確定は、価格帯出来高の伸びている1,000円付近ですね。繰り返しますが、勝率こそ高いものの、逆張りの買いは上値の目処が付いてしまっていることが難ですね。小さな利益を積み上げる手法です。

価格帯出来高の見方は、以下の記事を参考にしてください。

記事:価格帯出来高のチャートを使った売買判断

転換点で取引高が急騰する理由

ここまで、取引高が急騰した日が株価の転換点になりやすいことを示しました。では、その理由を考えてみましょう。

転換点を迎えるまでは買いの建て玉が溜まっていた。その多くが決済されることで、出来高が急騰した。この説明でしっくりくるでしょうか。需給の転換が生じたことと相場の心理がポイントです。

上昇局面で買い玉が積上げられる

上昇局面で買い玉が積上げられる

基本的に、株価というものは買われれば買われるほど上昇します。当たり前です。同じく当たり前ですが、買いのポジションも増えていきます。株価の上昇局面で積み重ねられていったポジションは、いずれ決済されます。

決済された所で出来高が急増

決済された所で出来高が急増

前述の積み重ねられた買い玉が決済されると、出来高が急騰します。そりゃそうですよね。たくさんの建て玉が積まれていたのですから、決済された分だけ、出来高は増えます。ここが、売り買いの需給が転換するポイントです。

では、決済したひとは、次にどうするでしょうか。ここに、相場心理を読み解くポイントがあります。勿論、決済した人はここが高値と考えて売り抜けた訳ですから、しばらくは買おうと思わないのです。結果、買い手の数は減ってしまいます。最終的に、買い手が減った銘柄の株価チャートは下落局面へと移り変わります。これが株価が頭打ちになるメカニズムです。

当たり前のようでいて、株価の転換点で起きているメカニズムを知っている人はなかなかいません。こういった見方をすることが「チャートを読む」という言葉の深い~意味です。売買サインだけで取引するのも良いですが、トレンドが移り変わる背景と心理を読み解くことで、チャート分析はより精緻になります。

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