トピックス買い日と小判ザメ銘柄選定のポイント

TOPIX組み込み銘柄選定のつぼ

去る2015年10月28日。どうやらTOPIX買いが行われた形跡がありました。2015年上期までは、GPIFの利益確定売りにより買い入れ規模が縮小。下期の10月に入って、やっとこさ買い入れプログラムが再始動した様子が伺われます。

同日、TOPIX指数に組み込まれた銘柄は5銘柄。このうち、8%超の上昇となったのが2銘柄でした。2勝した銘柄のうちの一つはホットランド(3196)。時価総額が大きい銘柄で、買い入れ金額が大きかったのでしょう。8%越えの上昇となりました。もっとも、今回のTOPIX買いは金額規模が小さいためか、銘柄によって明暗分かれる結果となりました。大幅上昇した銘柄と売りに圧された銘柄が分かれたのです。

そこで今回は、各銘柄の株式指標を使って有望な小判ザメ銘柄を選定するコツを語りたいと思います。

  1. 10月のTOPIX買い日
  2. 新規組み入れ銘柄の値動き
  3. 小判ザメ銘柄は時価総額を見よ
  4. 売買高も考慮に入れて
  5. まとめとインパクト指数

10月のTOPIX買い日

冒頭に書いた通り、2015年10月のトピックス買い入れ日は28日でした。前日は指数組み入れ日。その翌日に、TOPIX連動ファンドによる買い入れがあったという次第です。管理人がTwitterで呟きました。

TOPIX買いのつぶやき速報

TOPIX買いのつぶやき速報

前日27日は、10月の月内最終売買日。9月に一部指定を受けた株式銘柄がTOPIX指数に組み込まれた日でした。

厳密に言うと、この月内最終売買日にファンドは買い入れをしなければならないはずなんですが、実際の所は誤差がありますね。買い入れ日については諸説あって、最終売買日の前日だとか、いやいや月の終わりの平日だとか、色々な人が色々なことを言っています。

2015年に限って言うと「月内最終売買日の翌日」が有力説だと考えます。8月もそうであったからです。この点は、先日の相場日記でちらりとお話しました。

参考記事:TOPIX買い復活なるか~2015年は不振続きの理由

新規組み入れ銘柄の値動き

今回、TOPIX指数に新規に組み込まれた銘柄は、9月に一部指定を受けた5銘柄です。

  • ゴルフダイジェストオンライン(3319)
  • テクノスジャパン(3666)
  • ボヤージュグループ(3688)
  • ホットランド(3196)
  • ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)

当日の値動きを振り返って見ましょう。以下の各チャートは28日の各銘柄の日中の値動きを示したものです。

10月のTOPIX買い一覧

10月のTOPIX買い一覧

値動きを見てもらえると分かりますけど、ゴルフダイジェスト、テクノス、ガンホーの3銘柄は利益確定売りに押されてしまいましたね。買い入れ金額が大きければ、3%超の上昇で引けるのですが・・・。まだ、GPIFは株式ポートフォリオに資金を振り向けていないのでしょう。

それでも、ボヤージュグループとホットランドは+8%超の上昇となりましたから、買い入れそのものは行われている様子が分かります。

小判ザメ銘柄は時価総額を見よ

視点を変えて、小判ザメ銘柄の選定ポイントに話を移しましょう。クジラである大口投資家の買いに便乗する小判ザメ投資家なら、今回のような新規採用銘柄を買うのは当然なのですが、ここでさらに銘柄選定のポイントがあります。時価総額です。

TOPIX指数への寄与率は、基本的に時価総額と浮動株比率に比例します。

TOPIX指数への寄与=時価総額×浮動株比率×α

注目すべきは時価総額で、この金額が大きいほどTOPIX指数への寄与率が高い=買い入れ金額も大きいのですね。小判ザメ銘柄の見方としては、この時価総額が大きい銘柄ほど有望と言ってよいかも知れません(浮動株比率については後述します)。

今回、TOPIX買いのあった各銘柄の時価総額は以下の通りになっています(四季報記載情報による)。ガンホーを除けば、ホットランドが頭一つ抜けています。時価総額に着目すれば、今回8%超の株価上昇をなしたホットランドの値動きは、妥当なものであったと言えるでしょう。

  • ゴルフダイジェストオンライン(3319):170億円
  • テクノスジャパン(3666):140億円
  • ボヤージュグループ(3688):190億円
  • ホットランド(3196):328億円
  • ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765):3766億円

後述しますが、ガンホーは時価総額の点では、買い入れ金額規模が大きいことは確かです。しかし、人気銘柄であるが故に、普段の売買高も大きいのです。結果、今回の買い日は市場の売り圧力に負けてしまった形になりました。

売買高も考慮に入れて

最後に普段の売買高の話です。先ほど少し触れました通り、TOPIXの買い入れ金額は浮動株比率にも比例します。浮動株比率とは、市場に出回る株式の全体に占める割合で、この割合が大きいほど流動性が高く、売買高の大きい銘柄であると言えます。

TOPIX指数への寄与=時価総額×浮動株比率×α

上記の式の通り、一見、浮動株比率の高い銘柄ならば、TOPIX買いの規模が大きいように思えます。それは正しい推測かも知れません。しかし、小判ザメ銘柄の選定で問題になるのは、浮動株比率が高い銘柄=TOPIX買いの旨みが薄い銘柄である点です。

理由は2つ。一つは、流動性の高い銘柄ほど市場の売買動向の影響を受けやすいことです。たまたま、TOPIXの買い入れ日にマーケットのモメンタムが上向きなら、株価にも追い風になるでしょう。逆に売り圧力が強ければ、クジラの買いも市場の波に飲まれてしまいます。TOPIX買いの銘柄選定にあたって、流動性の高い銘柄を選ぶこと=不確実性を増すことだと理解すれば良いと考えます。

2つ目の理由は、流動性の高い銘柄では、クジラの買いもインパクトが弱いことです。往々にして、浮動株比率の高い銘柄は、普段の売買金額も高い傾向があります。普段、100億円の売買高があるところに3億円投じても3%しか動きませんね。折角のTOPIX買いに賭けるなら、もっとガツンと上がる銘柄に賭けたいところです。

これらを考慮すると、注目すべきは浮動株比率よりも、普段の売買高であることに気づくことでしょう。直近の売買高が少ない銘柄の方が、TOPIX買いのインパクトが大きいという寸法です。

まとめとインパクト指数

最後にまとめとお役立ち情報を述べます。ここまで述べたTOPIX買いの銘柄選定のポイントは、以下の通りです。

  • 時価総額の大きい銘柄の方が買い入れ金額が大きく有望。
  • しかし、有名な銘柄/流動性の高い銘柄は市場の波に飲まれることも。
  • むしろ、売買高に注目。普段の売買が少ない銘柄の方がインパクトが大きい。

これを考慮して「インパクト指数」とも呼べる銘柄選定の目安となる指標を導入してみました。買い入れ金額が与える株価上昇インパクトと、普段の売買高の比率を数式で求めたものです。

インパクト指数
=TOPIX買い入れインパクト÷直近の売買高(週平均)
=(時価総額×浮動株比率)÷(直近の一週間売買高/5)

かなり荒削りな数式ですが、複数の銘柄から有望な小判ザメ銘柄を選ぶだけなら十分ではないでしょうか。

上記の数式で各銘柄のインパクト指数を計算してみたら、以下のようになりました。ご覧の通り、ホットランドとテクノスジャパンが有力候補になりますね。さらに時価総額の差で、ホットランドが本命の小判ザメ銘柄と導き出される寸法です。

小判ザメ銘柄の選定基準をリスト化

小判ザメ銘柄の選定基準をリスト化

上記の表は、四季報CD-ROMに前述の式を入力して、銘柄選定の目安になる指標をリスト化してみたものです。計算に使った数字は、すべて四季報CDーROMに収められています。ゴリゴリ手計算で割り出しても良いのですが、スクリーニング機能を応用すれば今後も繰り返し計算できますね。興味のある方は、お試しあれ。

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