今回は、株式市場7月の傾向と相場日記を語ります。
2015年7月。ギリシャ問題に上海中国株暴落とリスクオフ傾向が高まる今日この頃。日経平均はとうとう20000円を割り、日本市場にも暗雲が漂ってきました。もっとも、例年7月というのは株式市場の不調となる時節です。管理人は月初から、化学メーカーの帝人と金融銘柄のみずほFGの売りで臨みました。
今回は、上記2銘柄を売りと考えた理由と背景を株式市場の季節要因から解説していきたいと思います。
- 7月は株式相場不調の傾向
- 7月下げの要因は
- 下げが顕著な化学銘柄・金融銘柄
- 買いで臨むなら仕込み時かな
7月は株式相場不調の傾向
はじめに日本市場7月における例年の傾向を見ていきましょう。以下のグラフは日経平均株価の月中における推移を示したものです。
ごちゃごちゃしていて分かりにくいのですが、平均推移が相場の傾向を端的に示しています。過去7年のデータで平均すると、概ね7月の日経平均は下落傾向にあります。唯一好調だったのは2013年で、+1000円に迫る大幅高がありました。もっとも、この年はアベノミクスの黎明期であったので、例外中の例外であると言えるでしょう。一方、-1000円近い大幅下落を示す2008年、2009年は、それぞれリーマンショックの前哨戦、敗戦処理の時期に当たります。不思議に思えるかも知れませんが、この両方の年であっても下落した株価は下旬に値を戻しています(後述)。
7月に株価が不調になるケースの要因は、利益確定売りが発端だと言われています。6月はファンドの買いや個人のボーナス突っ込み買いがありましたから、その反動であると言うのでしょう。ただ、それは原因ではなく結果であって、少し深堀りして考察すると詳しい事情が見えてきます。次章で詳細を解説します。
7月下げの要因は
7月の株価が下落する要因については諸説あります。有力な所を並べてみると以下のような材料が並べられます。
- 6月の好調相場の反動が出る
- ヘッジファンドが決算を控えて処分売り
- 企業決算が過ぎての材料出尽くし
- 個人投資家の撤退売り
6月の好調相場とヘッジファンドの処分売りに関しては、どちらも機関投資家の売買需要が根本的な要因です。海外ヘッジファンドの買いのピークが6月にあり、7月からは四半期決算に向けての処分売りが相次ぐ時期です。後者について補足すれば、45日ルールを意識した現金化の流れと言うべきでしょうか。この点、決算が過ぎた順に買い戻しが入るので、不調の年でも月末にかけて元の水準に戻る傾向があることの説明がつきます。
ここら辺のヘッジファンドの決算事情については、下記の記事で紹介しました。
企業決算が過ぎての材料出尽くしについては、読んで字の如しです。株に限らず、相場というのは期待で買われて、事実で売られるものです。6月から7月の頭にかけて、日本でも欧米でも主要企業の中間決算が相次ぎます。それを過ぎれば新たな材料に乏しく、必然的に買いを続ける動機がなくなる訳です。
相場が下落すれば、買い一辺倒の個人投資家は含み損を抱えます。心理的にも資金的にも余裕がなくなり、個人の損切りも相次ぎます。特にサラリーマンの中には、夏のボーナスで高値に突っ込んだ層がいるのでしょう。個人投資家に人気のマザーズ以下小型株も売りが相次ぎ、株安が波及していくという仕組みです。
下げが顕著な化学銘柄・金融銘柄
上記のような傾向を踏まえた中で、管理人は月初に空売りを仕込みました。上海市場の中国株下落が決定的なトリガーではありましたが。今となっては当然のトレードなんですが、まあ最近まで株価上昇を続けてきた経緯がある中で売りを仕込むのは勇気がいりましたね。そんな躊躇ある決断を後押しした材料が、化学銘柄と金融銘柄の季節要因=アノマリーです。
アノマリーというだけあって不思議な傾向なのですが、上記2分野の銘柄は夏前に株価が下がる傾向があります。おそらく理由は、前章で述べた要因が顕著に現れるからなのでしょう。化学と金融の分野は景気に敏感ですから、相場心理をストレートに受けます。どこかで読んだこのアノマリーを知っていたので、主題の帝人とみずほFGチョイスして積極的に売ってみました。
仕込みのポイントと現在の株価は、書き込んだ通りです。付け加えるならば、この2銘柄はチャート分析を行って選定している点です。下落シナリオを前提とすれば、これら2銘柄のチャートは下値目標が明確でした。目標株価は「価格帯出来高のチャート分析」で目処を付けています。この分析手法については、以下の記事を参考にしてください。
買いで臨むなら仕込み時かな
今回は売りの要因と手法の解説ばかりになりました。7月は夏枯れ相場を見据えているせいか、買いの材料に乏しく、先行きが不透明な時期であるのでしょう。市場は不透明さをリスクとして捉えます。
もっとも、直近の先行きに関して言えば、ここからはサマーレースが始まる時期です。四半期決算を終えれば、海外ヘッジファンドが再び市場に顔を向けるのです。特に夏休み前の買い仕込みは「サマーレース」と呼ばれ、ちょっとした株高の要因です。夏は働かないと有名であったはずの外国人も、ここ数年は休暇を短くする傾向があります。リーマンショック前の好景気の頃からと言われています。ウォール街を中心として、トレーダーが市場に参加する期間が長くなりました。
足下では下げですが、言い方を代えれば「仕込み時」であるとも言える訳です。個人的なトレード計画としては、待ちに待ったマイナンバー銘柄の仕込みのタイミングです。7月のこの下げは絶好の押し目です。マイナンバー銘柄の期待感については、以下の記事を参考にして下さい。
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