今回はテクニカル分析の基礎に立ち返り、移動平均線を使った分析手法とトレード法を紹介します。
使う移動平均線は短期・中期・長期の3本。一般には、この3本の移動平均線が上から順番に並んでいる時は明確な上昇トレンド。いわゆる「パーフェクトオーダー」と呼ばれる状態です。
実はパーフェクトオーダーが出る以前から、買いのタイミングはやってきています。移動平均線を使ったトレード手法。エントリーのタイミングと併せて解説していきたいと思います。
- 理想的な買いトレンド
- 移動平均の交差と推移
- 初動に乗るのはどこで買うか
- トレンド転換した銘柄の例
- 中村超硬に大きな初動
- ITbookは決算前から
- まとめ
理想的な買いトレンド
最初にパーフェクトオーダーの解説から。冒頭に書いた通り、明確な上昇トレンドでは移動平均線が上から順に、短期・中期・長期の順に並びます。具体的なチャートの例を示しましょう。最近、太陽光発電の関連銘柄として有名になった平田機工(6258)の週足チャートです。
ご覧の通り、綺麗なまでに右肩上がりのチャートを描いています。3本の移動平均線にも注目してください。これまた綺麗なパーフェクトオーダーの状態が続いたことが分かります。
ただ、実を言うとこのチャート。よく見ると、トレンドの初動から現在までに、一度だけトレンドが終わった局面がありますね。いわゆる「押し目」の買いチャンスがあった訳です。もっとも、押し目と判断できるのは結果論。ついでに、大きなトレンドとなったのも結果論。さらにさらには、初動で買えるか?買いポジションをホールドできたろうか?という疑問もついて回ります。
という訳で今回は、移動平均線を使った分析手法と買い・決済のポイントを解説していきます。尚、今回のネタは某twitter嬢王のつぶやきから仕入れました。ええ、ええ。管理人は平田機工なんて買ってはおりません。
移動平均の交差と推移
移動平均線の分析手法を語るに辺り、基本的ですが見落としがちな事実があります。それは、3本の移動平均線の並びは必ず決まったパターンで入れ替わることです。以下に図で示してみましょう。
短期の移動平均線は、残りの移動平均線を跳び越すことができません。当たり前と言えば当たり前なのですが、トレンドの発生プロセスに従い時系列を追ってみると、何通りかのパターンしかないことが分かります。押し目についても同様です。
そう。ご覧の通り、パーフェクトオーダーに至る過程は決まっていて、それも一通りしかない訳ですね。大きな上昇トレンドの初動に乗るには、この一連のプロセスの「どこか」で買えばいいという推察ができます。
初動に乗るのはどこで買うか
上昇トレンドの発生プロセスが分かったところで、果たしてどこでエントリーすれば良いかという話に移りましょう。結論から言えば、パーフェクトオーダーが成立する前の段階。移動平均線の並びが中途半端な過渡期の状況を示しているタイミングです。
理由は、ローソク足が「ある」値動きを続ければ、いずれ短期の移動平均線が中期・長期のそれを上抜くことが分かるからです。以下にエントリーポイントと値動きのイメージを図に示します。
上図の通り、ローソク足が中期・長期の移動平均線を超え、さらに終値を維持し続ける(必ずしも上値を更新する必要はない)。これで、必ずパーフェクトオーダーの並びとなるのです。移動平均線は、直近x日間の終値を平均計算したものです。短期線にしろ長期線にしろ、移動平均線より上の価格を維持すれば、直近x日間の終値平均値が上がります。その状態を維持すれば、期間の短い移動平均線から上に並ぶパーフェクトオーダーが出来上がるという寸法です。
こうして考えると、具体的な売買ルールが作れそうですね。中期・長期の移動平均線にメジャーな26週や52週の期間を使えば、スクリーニングも可能かも知れません。まあ、できれば検証ソフトを使って勝率や期待値、ベストなパラメータを割り出しておきたいところです。何気に買い時銘柄を日々シグナルで確認することもできます。
トレンド転換した銘柄の例
最後に、ごく最近になってトレンド初動の値動きが見られた銘柄を2つ、ご紹介しましょう。中村超硬 (6166)とITbook (3742)です。
中村超硬に大きな初動
まずは中村超硬から。赤字予想であった経常収支が黒字転換すると言う発表があり、この記事を書いている週に大幅陽線を記録しました。以下は、現在の週足チャートです。
よく見ると面白いことに、収益予想の前からトレンド転換のシグナルが出ていますね。そもそもが赤字予想で売られきっていたところなので「これ以上の悪材料はない」との思惑が反映されたのでしょうか。見事に綺麗なトレンド転換を示しています。
ITbookは決算前から
もう一つがITbookです。一昨年のマイナンバー銘柄ブームで暴騰を果たした、この銘柄。当サイトでも、以前の記事でご紹介しました。もっとも、売掛金の回収率が悪く、昨年は一年通して売られていた銘柄です。
ご覧の通り、しばらく前にトレンド転換を果たしていますね。売掛金の回収があることや、人材確保のために派遣会社をM&Aしたことが、利益好転に寄与すると予想されたのでしょう。年度末の決算発表前から買いが入っておりました。
まとめ
上記の2銘柄は、移動平均線の並びでトレンド転換の判断ができた典型的な例です。念のため申し上げておきますと、当然ながら確度100%なんてことはありません。トレンド転換が果たされないこともありますし、損切りするための逆指値も入れなければなりません。その場合、損切りの目安となるのは、再び中長期の移動平均線をした抜くことが確定した場合でしょう。再び、短期線が下向き、下落トレンドが再開する恐れがあるためです。
値動きにノイズの多い銘柄は、しばしば振り落とされることがあるようです。ただ、下値が限定される一方で、上値は目途すら見えない優秀なエントリーポイントです。こうした高いエッジ(優位性)がある局面で買いを入れることが、値動きの初動を掴むことの妙味であると考えます。
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