今回は少し相場を離れて仕事の話をします。管理人はこの夏、会社を辞めました。別に専業トレーダーになるとかではなく、単なる転職です。今年2017年は実経済でも景気が良く、求人倍率が過去最高レベルで高まっています。
サラリーマン投資家としては、そんな転職活動には会社四季報を活用したいところですね。就職四季報と併せて読むと会社HPでは読めない情報に気付いたりします。今回は転職活動に会社四季報+就職四季報を活用するためのネタを語りたいと思います。
- 会社四季報と就職四季報
- 四季報から分かる企業の特徴
- 従業員数と売上高(会社の規模)
- 平均年齢(社員の年齢層)
- 平均給与(入社後の待遇)
- 財務の修正履歴(事業の風向き)
- 離職率・離職者数(ブラック度診断)
- ワークライフバランスを調べるには
Contents
会社四季報と就職四季報
最初に参考資料の紹介から。今回の四季報活用術で利用する四季報は、いわゆる投資で使う四季報(=会社四季報)と就職四季報です。就職四季報とはなんぞや?と言えば、その名の通り就職活動に利用可能な情報が記載された冊子です。投資用の四季報と同じく、東洋新聞社から出されています。
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会社四季報と就職四季報の最大の違いは、就職四季報には非上場企業も掲載されている点です。世の中、意外と非上場企業は多くあります。工具関係で言えばボッシュ、自動車関係では日立オート、買収されて上場廃止したダイエーなど、働く側にとって気にしていない非上場企業は結構あります。さらに外資系企業だと、ほとんど日本の株式市場には上場していませんね。
就職四季報では、そうした非上場企業を数多く扱っています。さらに言えば「総合版」と「優良中小企業版」があって、後者はそれこそ一般には知られていないニッチ企業が掲載されています。
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優良中小企業版を読んでいて面白い点は、小さな企業でも下手な大企業より待遇がよいことですね。ニッチな需要を掘り起こしているマイナーメーカーあたりだと、高給+休み多いというデータが見つかったりします。ここら辺の就職活動の仕方は、マンガ「インベスターZ」を読むと載っていたりしますね。何気に中小企業への転職はアリだと思います。
四季報から分かる企業の特徴
2つの四季報を紹介した所で、見るべきデータを解説していきましょう。ざっと言って、以下の掲載情報が企業の特徴を掴むために有用だと考えます。当然ながら、面接のネタに使うのもアリでしょう。
- 従業員数と売上高(会社の規模)
- 平均年齢(社員の年齢層)
- 平均給与(入社後の待遇)
- 財務の修正履歴(事業の風向き)
- 離職率・離職者数(ブラック度診断)
それぞれの項目を解説していきましょう。
従業員数と売上高(会社の規模)
従業員数と売上高から、その企業の規模というものが見えてきます。それぞれの数字は、飽くまで業界内の比較で決まりますね。自動車業界だと大手といえば万単位の従業員数+兆円単位の売上高です。これが半導体業界に移ると、社員5000人でも十分に大企業になったりします。
おもしろい点は、売上高の数字を従業員数で割ってみた数字です。社員一人当たりの売上高ですね。当然、一人当たりの売上高>給料の金額でないと赤字になります。この数字の大小は、会社の払える給与のポテンシャルを考えるに当たって非常に重要です。
従業員数と売上高の数字は、会社四季報と就職四季報に共通して掲載されています。
平均年齢(社員の年齢層)
社員の平均年齢は会社の歴史を語ります。大体にして創業から年数の長い企業ほど、社員の平均年齢が高くなります。ただ昨今ではリストラにより、平均年齢が若くなっている企業もあります。そうした事実を推測できる数字でもあります。
これまた業界によって、平均年齢の大きさは変わってきます。メーカー系だと40歳代が平均的なところでしょうか。30歳代まで低くなっていると、まだ若い会社か過去に人員整理をした会社だと気付きます。ただ、リストラしていてもV字回復した企業も存在します。将来的に長く働くことができる会社かどうかは、また別の話になるかも知れません。
往々にして、平均年齢が高いほど年功序列の雰囲気が強くなります。
平均給与(入社後の待遇)
四季報には従業員の平均年収が掲載されています。平均年齢にもよりますが、500万円台=もう少し欲しいかな、600万円台=高給だな、という印象があります。700万円台をオーバーするのは、非常に特殊な業界や企業になります。
前述した通り、意外にも中小企業の中にも600万円台の平均年収を公表している会社が数多くあります。むしろ大量生産で利益が出ない時代になっていますから、ニッチ産業でシェアを独占した方が高利益になるのかも知れません。何気に中小企業の方が景気に左右されにくいというメリットもあります。
逆に大企業のメリットは異動ができることでしょうか。中小企業だと職場が合わない場合でも異動先がありません。また、海外志向や成長志向が強い方は、研修制度の整っている大企業の方が合っていると思います。必ずしも給与=働き易さでない点がサラリーマンの難しい所だとも思います。
財務の修正履歴(事業の風向き)
四季報CD-ROM版では、過去3期の財務数値(計画を含む)について情報を閲覧することができます。これは企業の事業が向かい風か追い風かを調べるのに向いています。景気の良い企業であれば、売上高と経常利益が期毎に上方修正されているはずです。
求人票を見ると、しばしば「業務拡大に付き増員」の文字を目にすることがあります。四季報を見れば、この「業務拡大」の事実が確認できます。前述の通り、財務の数字が拡大しているはずであるからです。
もう少し突っ込んで見るなら、キャッシュフローの意味を知っていると得をしそうです。得てして新規事業に積極的な企業は投資キャッシュフローを増やしています。前期より投資CFのマイナスの数字(投資は手元資金が減るのでマイナスで表現される)が大きくなっているなら、拡大路線を取っている良い証拠です。
離職率・離職者数
最後に気になる離職率。単純に言って、社員の定着率を推し量る指標になります。当然のことながら、この数字が大きければブラック企業の懸念を持たざるを得ません。就職四季報にのみ記載されいる指標です。
まあ、企業もそれを気にしているようで、昨今の人手不足の世の中ではなかなか人を辞めさせようとはしません。目安としては、2%以内が理想です。ただ、職場の平均年齢が若かったり、業種によっては離職頻度が高い業界もあります。飽くまで目安だと思ってください。
注意すべき点は、この離職率・離職者数の数字は3年以内に離職した人の統計に基づていることです。言い方を変えれば、3年過ぎれば数字に反映されない訳です。離職者数が少ないからと言って、長く働くことができる会社ではない点、注意が必要です。
ワークライフバランスを調べるには
最後に昨今流行りの働き方改革についての調べ方です。効率的に働いている企業というのは、基本的に休みが多い傾向にあります。ここで言う「効率」とは、作業効率ではなく売上の上げ方に対する問題です。要は、いかに企業が効率的に利益を上げているかという問題です。
往々にして働き方の効率が良い企業は、有給消化率が多い傾向があります。また、それゆえに離職率も低く抑えられています。有給消化率と(3年内)離職率の数字は、就職四季報に記載があります。この働き方に関するデータがあることが就職四季報が会社四季報とひと味違う点ですね。
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管理人は、転職活動を始めるに当たって真っ先に就職四季報を買いに行きました。ただ残念な点は、もう日本の大企業に完全なるホワイトを求めることは苦しい点ですね。逆に言えば、給料が高くて休みの多い企業を探すなら、中小企業や外資系(欧州企業は休みが多い)ということになります。
そんな訳で、今回の転職活動は大企業に限らず、幅広く企業を見ています。意外な優良企業が見つかって面白いですね。まあ、受かるかどうかは全く別なのは残念です(ぉぃ。
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