立ち会い外分売の傾向と対策

株式イベントの一つである立ち会い外分売について、それに伴う株価の動向、アノマリー、取引手法について解説します。

①発表後に下落する傾向と②その原因、③そもそもの概要、④ルールと傾向を利用した株式の取引手法を解説します。

  1. 立ち会い外分売の傾向
  2. 立ち会い外分売とは
  3. 流動性の向上と希薄化
  4. 立ち会い外分売の対策

立ち会い外分売の傾向

みなさんは立ち会い外分売にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

割安だから儲かる?流動性が上がるから買われる?レアなイベントなので儲かりそうなイメージがあります。

しかしながら、特別なケースでない、もしくは特別な手法を利用しない限り、立ち会い外分売というのは儲かりません。

立ち会い外分売では、基本的に株価が下がる傾向にあります。以下には、その理由を解説していきます。

立ち会い外分売とは

まず、立ち会い外分売の概要をおさらいしましょう。

立ち会い外分売というのは、株式会社が自社の持ち株を市場に放出するイベントです。通常の市場立ち会いの場ではなく、その名の通り、特別に売却の場を設けて売り出します。

一般に、立ち会い外分売は、「株式の流動性を高めること」を目的に行われます。企業の持ち株比率が高い銘柄は、市場の流動性が低いため株価が乱高下しやすい傾向があります。そうでなくとも株式を発行する目的は市場から資金を集めることですから、クローズな株式銘柄は存在意義が疑われます。

分売に参加する投資家にとってのメリットは、株式をディスカウント価格で買うことができる点です。分売価格は、おおよそ市場価格から3%~5%の割引価格に設定されます。分売をする企業としては、割引をしてでも株式を売りきりたいのです。

もっとも、ここまでは一般に言われる立ち会い外分売のメリットです。実際には、株式は価格が変動する資産ですから、ディスカウント価格以下に株価が下がる可能性があります。むしろ、往々にして分売のイベントが発表されると同時に株価は下がり始めます。

流動性の向上と希薄化

ここまで、立ち会い外分売が発表されると株価が下がるとの主張を繰り返してきました。では、なぜ立ち会い外分売では株価が下がるのでしょうか?

その原因は、株式の希薄化です。

株価というものは、本来の資産価値に加えてプレミア価格が付いています。プレミア価格は、将来への期待感だとか、配当による利回りだとか、希少性によって付与されます。このプレミア価格を成す要因のうち、立ち会い外分売の実施は、株式の希少性を下げてしまいます。市場に株式が出回ると、一株当たりのプレミア感が減ってしまう訳ですね。これを「株式価値の希薄化」と言います。

この問題を数式で見ていきましょう。株式の市場価格というのは、以下の関係式によって決まります。

市場価格=企業の総資産/市場に出回る株式の数

立ち会い外分売をしても「企業の総資産額」は変わりませんから分子の数はそのままです。一方で、立ち会い外分売というのは市場に自社保有の株式を放出するイベントですから、分母の「市場に出回る株式の数」は増加します。

あとは、算数の反比例の問題です。分子が変わらず、分母が増えれば、計算される答えの大きさは減ります。前述の式で示した「市場価格」が下がる訳です。

なんだか小難しい説明をしましたが、要は「市場に株式が出回るとレア度が減る」と理解してもらえれば良いと思います。世の中、レアなものほど価値が高いものです。

立ち会い外分売の対策

以上の通り、立ち会い外分売が行われると株価は下がる傾向があることを解説しました。このような傾向を踏まえながら、株式売買に活かす手段を3つ提案したいと思います。

手法の一つ目には、空売りがあります。「立ち会い外分売=株価下落」のシナリオに沿って、素直に信用売りをする手法です。売りを始めるタイミングは、発表時です。株価は立ち会い外分売の発表と同時に下落を始めますから、発表された日から売りに走ります。逆に、保有していた銘柄が分売を発表してしまった場合は、決済して様子を見るべきでしょう。

2つ目の手法は、両建てして差益を取る手法です。立ち会い外分売はディスカウント価格で株式を購入する手段でもあるので、分売に参加して割安価格で買いをいれます。同時に、株価の下落リスクをなくすために市場価格で空売りをして、売りと買いの両建てをします。結果、ディスカウント率だけ利益が出ます。詳しくは、別途記事に記載します。

最後に、東証一部昇格を期待する方法です。東証一部に昇格するためには、株式の流動性を一定以上に保つ条件が定められています。この条件をクリアするために、企業は立ち会い外分売をすることがあります。東証一部指定は、往々にして好感される材料です。東証一部昇格条件に適合するための立ち会い外分売だと判断したら、買いを入れる戦略が成り立ちます。詳細は別途記事に記載します。

以上が立ち会い外分売の傾向と対策です。まとめると往々にして売り。例外的な条件と手法次第で買いとなります。総じて、売買の判断には知識と経験が必要です。立ち会い外分売は経験者向けのイベントであると言えるでしょう。

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コメント

    • 山本
    • 2018年 8月 12日

    始めてサイトを拝見し初心者にもわかりやすい解説に感激しております。
    立会外分売に関心があるのですが発表された当日に当該銘柄を知る方法はありませんか?
    各取扱いの証券会社のサイト(7社)を当たるより方法は無いのでしょうか・・・

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