昨日、日経平均15,000円割れを起こした日本の株式市場。その原因は、米国株の下落だとか、世界経済の先行き不安等が理由とされています。ただ、例年の傾向を見ていくと、10月の波乱相場は2014年だけでなく、例年も見られる傾向です。
今回は、そんな10月の株式相場のアノマリーと、相場を乗り切るための傾向と対策を解説していきたいと思います。
- 株式市場10月の動向
- 外資系の動向に注目
- 初旬の売りと下旬の買い
- 狙い目の銘柄
株式市場10月の動向
例年10月というのは、株式市場が荒れる傾向にあります。特に初旬は、下落傾向が強くでます。歴史的に大幅な下落を記録する月も10月が多いようです。
その要因は、前後の月にあります。特に、9月と11月に、それぞれ国内企業の半期決算、海外企業の年度末決算があることがポイントです。投資機関の決算を意識した売買の特色が色濃く出ます。
10月の需給要素は、具体的には以下の通りです。
- 9月のドレッシング買いの建て玉が解消。
- 9月に高まったボラティリティが継続。
- 11月末に海外企業の決算。決算前に、ヘッジファンド顧客の解約が相次ぐ。
- ヘッジファンドのポジション縮小。利益確定で売り。
- 11月にかけて、企業の決算発表が本格化。好業績で買い。低迷で売り。
多かれ少なかれ、例年10月は上記の要素が日経平均株価を上下させる傾向にあります。トータルでは、株式指数は以下のように「V字曲線」を描く傾向にあります。
外資系の動向に注目
近年は日本の株式市場もグローバル化が進み、外国人投資家による保有比率が高まってきました。必然的に、外資の都合による売買の特色が強く出てきています。
例えば、前述で挙げた9月のドレッシング買い。これを裏付けるかのように、9月の売買動向は外国人投資家の買い越しとなっています。データは東証HPより
投資部門別 株式売買状況 9/1~9/26 海外投資家の売買比率(千株) 売り:19,974,095 買い:20,382,186 差し引き:408,091千株の買い
これを利用すると、その時々の需給要素が見えてきそうです。例えば、外国人の買い比率が下がってきているようなら、早めの利益確定売りが予想されます。
ファンダメンタル的にも、海外、特にアメリカの動向を強く見る必要があります。今年なら、IMFの経済停滞予想、対イスラム国の軍事派遣、米金融緩和の終了、エボラ出血熱の拡大等がキーワードです。これらのいづれかが売りのトリガーにされると、ピンと来た方もいるのではないでしょうか。
もう一点が、ドル円の為替レートの動向です。外資は日本株買いと同時に円売りの為替ヘッジをかけて来る場合が多いので、ドル円レートの上下から明日の株式指数を予見できることがあります。今年は、108円のボーダーラインを割った所がポイントでした。この後、日経平均は大幅下落となっています。
初旬の売りと下旬の買い
10月相場を乗り切るためには、外資主導の波乱相場の波にうまく乗る必要があります。そのためには、日経平均の上下に逆らわず、個別株でも同じ方向に建て玉を持つ必要があるでしょう。
前述の通り、10月の日経平均はV字曲線を描く傾向があります。
ここから導かれる結論は、主題の通りです。月初に売り玉を仕込み、中旬あたりに見極め。そして、銘柄選定を経て、月終盤にドテンの買いです。日経平均株価を構成する大型株は当然ですが、それに引っ張られる振興市場株も同様の手法が良さそうです。売り込まれた所から、中旬を過ぎてトレンドが反転するタイミングをうまく見極めることがポイントです。
狙い目の銘柄
以上の通り、10月は初旬の売りと下旬の買いが基本方針となりました。最後に、銘柄選定のポイントを解説しましょう。
利益が出やすいのは、大型銘柄でしょう。外国勢が短期取引をする場合は、株価指数を経由して、個別株を売買せざるを得ません。というのも、外資勢の大きな資金を受け入れることができる個別株がないからです。直接、個別株を売買しようとしても、その量を消化することができるほどの銘柄はありません。結果として、外資勢の資金は株価指数→株価指数を構成する大型銘柄と流れます。
初旬の売りをするための銘柄選定は、下落基調から一度戻した銘柄を狙うと良いでしょう。9月のドレッシング買いで無意味に買われた可能性があります。本質的な株価上昇要因がなければ、再度の下落を期待することができます。今年なら、例えばオークマ(6103)がよい例です。
オークマは、先日の記事で書いた通り、筆者も一度空売りで儲けさせてもらった銘柄です。随分、安値で落ち着いていましたが、ここで再び下落トレンドが発生しました。空売りのポイントは、価格帯出来高を下に割り込んだ所です。
参考記事:価格帯出来高のチャートを使った売買判断
下旬の買いは、逆に上昇トレンドの押し目にある銘柄です。業績好調な銘柄でも、利益確定で一旦売られたことでしょう。それでも、11月にかけての決算で再び、好業績を発表する期待が持てます。可能であれば、25日平均線がまだ上向きを維持しているような銘柄が、短期で利益に変わりそうで良さそうです。
以上、株式市場10月のアノマリーと対策でした。読者の方々の利益増加に、ご参考になれば幸いです。
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