チャートパターンで空売りを仕掛ける手法をご紹介していきます。利用する分析手法はエリオット波動論です。株価推移の基本形とセットで解説していきます。
エリオット波動をご存知でしょうか。株式の上昇・下降には一定のパターンがある。期間の有無によらず、万事のチャートはそれに従う。そんな前提に立ったチャート分析の手法です。エリオット波動では、サイクルの終盤戦に現れる突然の下落を予想することができます。ここが空売りを仕掛ける急所という訳です。
文字で書いても伝わり辛いものがあります。むしろ、チャート形状という幾何学的な手法ですね。今回は図を多めに交えながら解説していきます。
- エリオット波動の基本形
- 具体的事例(DLE・そーせい)
- 空売り仕掛けへの応用
- チャート分析を併用する
Contents
エリオット波動の基本形
最初に空売りチャートの基本形とも言える、エリオット波動について解説していきましょう。エリオット波動というのは、ラルフ・ネルソン・エリオットという人が考案したテクニカル分析のひとつです。「株価の上下動は5つの上昇波と3つの下降波から成る」という、基本のパターンを前提としています。
全ての株式チャートにエリオット波動が適用できるとは言いません。ただ、中には上昇トレンドがエリオット波動のパターンに基づいて推移する値動きを見せるものがあります。であれば、下降局面もエリオット波動論的に推移するであろう。この仮説に基づいて空売りを仕掛けようというのが今回の主旨です。
実際のチャートでは形が乱れることも多く、理想通りの推移をすることは稀です。ただ、いくつかのポイントを抑えておくと、エリオット波動のパターンに順じていると気付くことがあります。パターンを見分けるポイントおよび注意点は下記のようになっています。
- 2波の下落は1波の上昇を打ち消すことはない。
- 3波は最も長いスパンの上昇トレンドを形成する。
- 3波の上昇スパンには押し目があっても良い(4波ではない)。
- 4波は形が乱れることが多い(3波途中の押し目とは見た目が異なる)。
- 調整波bが終わるとトリプルトップ完成。右肩上がりになることが多い。
- 調整波cが終われば1サイクル終了。
上記のポイントを踏まえてエリオット波動を特徴的に描くと以下のようになります。
具体的事例(DLE・そーせい)
抽象的な議論をしてきたので、具体的なチャートの例に移りましょう。DLE(3686)の日足チャートです。なかなか綺麗なエリオット波動のチャートを描きました。
見やすくするために、マーカーで大雑把なトレンドを補足してみました。記事を書いている現在はサイクルの終盤に当り、株価は絶賛下降中です。当然、管理人はtwitterでつぶやいたように空売りを実施中。今ではそろそろ下落トレンドも終わるかな、というところです。
DLEはマイナーなので、もう少し有名な例を出しましょう。マザーズ市場のそーせい(4565)です。空売り銘柄ではないのが残念ですが、非常に明確なエリオット波動のパターンを描いています。twitterで少し話題になりましたね。
要は、こうした銘柄のサイクル後半で空売りすれば、綺麗に仕掛けが決まるという寸法です。
空売り仕掛けへの応用
ここら辺まで読んで頂ければ、大体の空売りポイントは分かって頂けたと思います。お察しの通り、空売りするべきタイミングはエリオット波動の調整c波になります。
いわゆるトリプルトップの天井を確認した所ですね。理屈だけで言えば、2波や4波、調整a波でも空売りそうに思えます。しかし、これらの波動は明確に現れないことが多々あるので、期待値として現実的ではありません。利益確定のポイントもはっきりしませんしね。
いくつか注意すべき点もあるので追記していきましょう。
エントリーポイント
まず、エントリーのポイントです。厳密に言うと、2箇所あります。サポートラインを超える前と超えた後です。
単純に言えば、サポートラインを超える前の方が高値から売り始められるので利益が出ます。ただ、下降トレンドへの転換を判断することが難しいことが一点。そして、調整b波が明確に形とならない場合に機能しないこともエントリーを難しくさせます。この点、エントリーに乗り遅れても、サポートラインを割ったところで入ればヨシという訳です。
サポートライン
利益確定を考える場合には、サポートラインが重要なポイントになります。エリオット波動のチャートでは、上昇トレンドの途中にブレイクしたレジスタンスラインが、そのままサポートラインになります。
空売りの難しいところは、利益確定のタイミングを計りづらいことです。どのサポートラインが最終的な底となるのかは判別しようがありません。この点、サポートライン毎に利益確定してしまうというのも、一つの手段ではあります。もっとも、後述するチャート分析の併用を行なうと、機能しやすいサポートラインが見えてくることがあります。
チャート分析を併用する
以上の通り、エリオット波動を応用した空売り手法について述べてみました。最後に補足を行ないたいと思います。
補足というのは、チャート分析の併用です。何も、エリオット波動の形だけにこだわる必要はなく、ご自身の分析手法とミックスするのは全然アリだと思います。以下には、管理人が併用している手法をご紹介します。
価格帯出来高でサポート確認
ひとつは価格帯出来高のサポートラインです。価格帯出来高が伸びている部分というのは、往々にして強めのサポートラインになります。逆に、その重力から離れた際には、大きく株価が動きやすくなるとも言えます。この特徴をうまく利用すると、エントリー・エグジットが明確になることがあります。
上記はよく見かける価格帯出来高の分布ですです。まず、トリプルトップのネックラインは間違いなく直近のサポートラインになります。逆に、一番遠いサポート(要は底値)はトレンドが始まった当初の株価にあります。
もし、両者の間に価格帯出来高が伸びているところがあれば、そこでトレンドが反転するかも知れません。もしくは株価が耐え続ければ出来高が伸びてきて、後付け的にサポートになります。そうしたら、利益確定のタイミングになります。
価格帯出来高については、下記の記事も併せてどうぞ。
出来高のダイバージェンス
株価がピークアウトするタイミングは、直前の押し目における出来高推移から判断することができます。エリオット波動の上昇4波を見分ける方法です。具体的には出来高減少による需要減退(出来高のダイバージェンス)を見て取ることができます。
図に描いた通り、ピークアウトする前の4波では株価が乱高下しやすい傾向があります。ここでは、上昇トレンドの最中であるにも関わらず、株価下落日の出来高が大きめになります。出来高のダイバージェンスです。
上昇トレンド中なのに処分される株の方が多い。この逆転現象は潜在的な需要が落ち込んでいることを示します。その後に参加者の少ないところに買いが入って、株価はピークアウト。この流れを確認した後から空売りの準備が始まります。
出来高のダイバージェンスについては、以下の記事も併せてどうぞ。
その他とまとめ
他にも色々と併用できる分析手法はあると思います。例えば、下落トレンドが本格的に始まるタイミングではボリンジャーバンドのバンド幅が拡大しますね。エントリーの目安にして良いのではないでしょうか。
念のため書いておくと、今回紹介した手法は当然、100発100中ではありません。最初のサポートラインに引っ掛かったまま、気付いたら調整波が終わっていたなんてこともあり得ます。すぐに利益に変わらないようなら諦めてポジションを閉じる潔さも大切でしょう。うっかり波動を読み間違えていたことに気付くかも知れません。
何気にFXにも応用が利きますよ。最近ではドル円レートで顕著でした。これでばっちりドル円売り決めましたからね。エリオット波動について詳しく知りたい方は、下記の書籍がお勧めです。
コメント
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勉強させて頂いています。
いつも本当にありがとうございます(^-^)
出来ればツイートも見たいのですか、ツイッターのお名前を教えて頂けないでしょうか?
twitterアカウントは@QuattroGutsですね。ただ、こちらでは普段はあまり呟きません。どちらかというと、FXの@fxturkishliraで呟くことが多いですね。ご質問もこちらへどうぞ。