ここでは、ポピュラーなチャート分析の指標の一つ。「移動平均線」について解説したいと思います。特に、知っておきたいのが、移動平均線が示す株価の意味です。
移動平均線は、一般に5日、25日、75日の3セットで使われます。5日移動平均線と言えば、直近5日間の終値の価格を平均したものです。
実は、移動平均線は単純に平均価格という意味以上の事実を示しています。それは、その期間に買った市場参加者の取得単価の推移を示しているという事実です。これを知っているか否かで、チャート分析の理解が全然変わります。今回、この点を突っ込んで解説したいと思います。少し長くなりますが、お付き合い下さい。
- 移動平均線の計算式
- 5日、25日、75日の意味
- 25日移動平均線の意味と市場心理
- なぜ25日平均線がサポートになるのか?
- 上昇銘柄の典型的パターン
移動平均線の計算式
一般のネット証券では、ごく単純な操作で移動平均線をチャートに表示することが可能です。そして、デフォルトでは、5日、25日、75日(証券会社によっては50日)の移動平均線が設定されていることでしょう。
この移動平均線。表示させるのは簡単ですが、使いこなすには意味を知っておく必要があります。そこで、まず移動平均線の計算式を理解しましょう。
- 移動平均線の計算式
直近n日の移動平均線の値は、以下の計算式で求められます。
n日移動平均線の値 =(1日前の終値+2日前の終値+・・・+n日前の終値)÷n日
例えば、5日移動平均線なら、以下の式で求められます。
5日移動平均線の値 =(1日前の終値+2日前の終値+・・・+5日前の終値)
こうして求めた値を日々計算し、チャートに推移を示したものが移動平均線です。
- 5日、25日、75日の意味
少し余談になります。移動平均線では、一般に5日、25日、75日の組み合わせがよく使われます。では、これらの数字の意味は何でしょう?
答えは、それぞれ1週間、1ヶ月、3ヶ月間の株式市場営業日の数です。1週間のうち、取引所が開いているのが月~金。つまり、5日間が1週間の営業日になります。1ヶ月の営業日も同様です。おおよそ、毎月25日間が取引所の開いている期間となります。
株式相場は、一週間、一ヶ月単位で節目が来ることが多々あります。このため、株式売買の世界では、5日、25日の数字がよく意識されます。必然、この注目すべき周期に合わせてチャート分析が行われてきました。いまでは、もはや当然の前提として上記の日数組み合わせが意識されています。
ちなみに、市場が週休2日になったのは10年ほど前の話で、昔は一週間5.5日(土曜は前場のみ)、一ヶ月は26日の数字が使われていました。いまでも名残が一目均衡表の期間設定に残っています。
25日移動平均線の意味と市場心理
計算式を理解したところで、移動平均線の意味へと移りましょう。
実は、移動平均線。これは、直近の市場参加者が平均いくらで、その銘柄を買ったのかという金額の推移を示しています。移動平均線は、いわゆる「平均取得単価」の推移を示している訳です。それもそのはず。移動平均線は終値の平均値を計算しています。終値は、一日の売買を代表するシンボルです。
上記の事実を知っていると、チャートの理解が飛躍的に深まります。例えば、ローソク足が5日移動平均線を上回っている場合です。
ローソク足が5日移動平均線を上回っているということは、平均取得単価以上で株式が売買されているということです。つまり、割高でも買う人が多いということです。これは、その銘柄に人気があることを示します。
- なぜ25日平均線がサポートになるのか?
5日移動平均線よりも、より強く意識されるのが25日移動平均線。つまり、一ヶ月間の平均取得単価です。
既に半分答えを出したようなものですが、これがサポートラインとして強く意識される理由です。繰り返しになりますが、株式相場は一ヶ月の周期を強く意識して変動します。個人投資家は月末に給料が入れば投資資金に回す人がいますし、機関投資家が毎月特定の日に買い入れを行うこともあります。この点、1ヶ月は最も多くの人に意識される周期です。
そして、市場参加者の心理があります。投資家は利益がプラスになれば強気になり、赤字になれば弱気になります。25日移動平均線は一ヶ月の市場参加者の平均取得単価を示したものです。このラインを割れば、半分以上の人が赤字を出します。このため、市場は一挙に弱気になり、大幅下落となる訳です。逆に、25日移動平均線を割らない限りは多くの人がホールドを続ける訳で、新規の参加者が加わることで再び上昇トレンドが形成されます。
これが25日線がサポートラインとなる理由です。この知識が役に立つのが空売りです。サポートラインを割れば一挙に市場が売りに傾き、空売りで利益となるチャンスが生まれるからです。管理人も空売りを仕掛けるときは、25日線のサポートを割るかどうかを強く意識します。
上昇銘柄の典型的パターン
最後に、移動平均線を使った黄金律をご紹介しておきましょう。
上昇トレンドを形成する銘柄のチャートには、基本的なパターンが存在します。それは、「5日線が25日線を上回る」というサインが出ることです。いわゆる、「移動平均線のゴールデンクロス」と呼ばれるものです。
上図は、ゴールデンクロスを描いてから上昇を始めたビックカメラのチャートです。①のポイントから上昇を始めて、②でゴールデンクロスのサインを出しました。
管理人の個人的意見ですが、実際のトレードでは②が買いの急所です。トレンドの立ち上がりを狙うと損切りが容易すく、利益も大きく出ます。買い銘柄では、このパターンを探すのが、管理人のチャート分析の定石となっています。
このパターンは、株主優待銘柄のアノマリーと相性が良く、権利日2~3ヶ月前に現れることがよくあります。他のチャート分析と合わせて使うと、勝率が格段に上がります。
以上、移動平均線の読み方でした。他のチャート分析も併せて読んでみて下さい。
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