今回は株システムトレードの少し限定された使い方をご紹介したいと思います。日経225銘柄に絞った運用ルールのご紹介です。
メリットとしてはIG証券の個別株CFDを利用できる点が挙げられます。小資金で分散投資することが可能で、50万円程度の運用資金があればシステムトレードを始めることができます。
今回はサンプルストラテジーの紹介と併せて、個別株CFDの活用方法を探っていきたいと思います。
Contents
システムトレードに必要な運用資金の話
最初に少し、株システムトレードの運用資金についてお話しましょう。
株のシステムトレードでは、運用資金が300万円とか500万円必要だとか言われています。理由はシステムの安定性です。買い付けを行う銘柄を分散させることで資金の大きな上下を抑えることができるためです。個別株の取引は1単元でも10万円を超す金額が必要ですから、複数の銘柄に渡って分散投資を行うとなるとかなり大きな資金が必要となります。
ここで一つ問題が生じます。運用資金をいかに用意するかという点です。
(筆者を含む)普通のサラリーマンにとって、300万円とか500万円とかの資金は簡単に用意できる金額ではありません。システムトレードで安定的な運用をしようにも、初期の資金を捻出することができないというジレンマがあるのです。
そこで筆者が考えたのが、IG証券の個別株CFDを活用するという方法です。
個別株CFDという選択肢
個別株CFDの良い点は、少額の資金でも1単元の買い付け金額が大きい銘柄を売買できることです。個別株CFDなら、売買の最小単位は1Lot=1株です。これなら1000円とか2000円程度から値嵩株(ねがさかぶ)を売買することが可能になります。
上記はトヨタ自動車の売買画面です。現在の株価は2300円程度ですが、これまた1Lotから売買できます。つまり、必要資金は約2300円。少額でも買い付けることができます。
この通り、IG証券の個別株CFDを利用すれば、少額でも個別株の売買が可能になります。必然的に少額資金でも分散投資が可能になり、株システムトレードを安定運用することができます。
リンク:IG証券の個別株CFD(紹介ページ)
日経225構成銘柄を対象にした売買ルールの紹介
前述の通り、個別株CFDを利用すれば株システムトレードを少額資金でも運用できることをご紹介しました。ただ、ひとつデメリットがあります。それは銘柄の数が豊富ではないことです。
具体的には、日本株なら日経225の構成銘柄などの大型株に限定される点です。すべての日本株をカバーできる訳ではありません。取引できる銘柄は、あくまで日々の売買代金が大きな銘柄に限られます。マザーズ市場やJASDAQ市場のマニアックな小型株は扱いがありません。
では、どうするか?
簡単な話、「日経平均を構成する225銘柄に限定した売買ルールを作ればよい」というのが筆者の出した答えです。
日経225銘柄に限定した売買ルールの内容
そんな訳で、前述の売買ルールを作りましたので紹介していきましょう。以下の通りです。
フィルタ
- 銘柄を日経225構成銘柄に限定する
- 金額が80円以下の場合は取引しない
- 売買代金の少ない場合は取引しない
- (売買代金の45日間平均が50千万円以下の場合)
- 終日ストップ高でない
買い(仕掛け)のルール
- 5日間の移動平均乖離率(終値)が-5%以下
- 10日間のATRが終値の5%以上
- 上記を満たした銘柄を移動平均乖離率(5日間)が小さい順にランク付けする
- 上記のランキング10位以内の銘柄を翌日に終値の-5%で指値買い
売り(手仕舞い)のルール
- 終値ベースで移動平均乖離率(5日間)が0以上
- 保有日数が7日間以上
上記のいずれかを満たした場合に翌日寄り付きで成行売り
株システムトレード検証ソフト「イザナミ」の設定方法
筆者の場合、株式システムトレード検証ソフトのイザナミ(スポンサードリンク)を利用してシグナル出しをしています。愛用者も多いと思いますので、以下に設定画面を公開したいと思います。
参考:株システムトレードの検証ソフト「イザナミ」(スポンサーリンク)
売買ルールの補足説明
以下には、売買ルールの補足説明を行いたいと思います。
基本理念
今回の売買ルールの思想は「売られすぎた株は買われる」という考え方です。
特に日経平均構成銘柄のような大型株は売られすぎたときに機関投資が買うことが想定されます。この「売られすぎた」という状況を移動平均乖離率で表現しています。
同じく手仕舞いにも移動平均乖離率を採用しています。これは「平均回帰」という考え方です。簡単に言って「株価は移動平均に収束する」という思想を採用しました。特に5日間という短期の移動平均線への回帰を利用しているので、トレード期間も短くなります。
手仕舞いには「保有期間が7日間以上」というルールも設けています。要は「7日で投げる」というルールです。これまた、実はなくても良いルールです。ただ、トレード期間を短くして資金の回転をよくするために設けました。
「10日間のATRが終値の5%以上」の条件と意味
上記の条件でボラティリティの高い銘柄を抽出しています。著作権の問題があるので詳細は明らかにできないのですが、ローレンス・ベンスドープ著の「高リターン・低ドローダウン戦略」という書籍で紹介されているATR%という概念です。
この条件はなくともそれなりの結果にはなります。ただ、ドローダウンを抑えることができるのと、1回トレード当りの期待値が高くなるのとで、今回は採用しました。なかなか使える条件です。
ランキングを使う理由
1日当たりのシグナルの数が多く出すぎる期間があるため、シグナルの数を制限するために設けました。具体的には日経平均の暴落時です。
日経平均が暴落すると多くの銘柄が売られすぎの状態に陥ります。その場合、シグナルが100個とか平気で出るので資金が足りなくなります。これを防ぐために、売られすぎの銘柄を上位10銘柄までに制限しました。
売買ルールの検証結果と考察
最後に検証結果をご紹介しましょう。
前述の設定で行えば、検証結果は以下の通りになります。
上記の通り、資産曲線は右肩上がりで、2021年にも一応は成績を更新しています。
ただ、さすがに2008年のリーマンショックと2020年のコロナショックでは、大きなドローダウンが発生しています。実は、あるフィルタを利用すれば防ぐことができるのですが、もともとのシグナル数が少ないため、このままにすることに決めました。日経225構成銘柄のみを対象にしているため、シグナルがあまり多くは出ません。
さらに気になるのは、2014年以降の成績がいまひとつという点でしょうか。時期から察するに、多分、クジラ(GPIF)が絡んでいると思います。クジラの買いが終わったら、また成績が向上するかも知れません。
個別株CFDの活用アイデアいろいろ
以上の通り、今回は個別株CFDを利用して小資金でシステムトレードを始める方法をご紹介しました。
サンプルストラテジーもご紹介しました。ただ、今回のストラテジーに限らず、日経225構成銘柄に限定しても利益が出るのであれば、他のルールを活用することもできると考えます。
ほかにも個別株CFDを活用するアイデアはいろいろあります。
- オリエンタルランド(株価17830円!)のような特級値嵩株を売買する
- ドローダウンの少ないストラテジーにレバレッジを掛ける(最大5倍)
- 売り禁の銘柄を売る(個別株CFDでは売り禁になっていないケースがある)
- 株式・FXの節税対策として(CFDは雑所得なのでFXの利益と通算可能。一方の株式とは別枠。)
IG証券の個別株CFDはいろいろと活用の可能性があります。以下にリンクを載せておきますので、興味のある方はご覧ください。
リンク:IG証券の個別株CFD(紹介ページ)
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