粉飾決算という材料で長らく紙面を賑わせてきた東芝(6502)。株価チャートは大暴落の後にも値を戻さず下落の一途。これで一儲けしようと考えた投資家読者の皆様もいるのではないでしょうか。当時の状況を考えれば、買いで挑むのはナンセンス。タイミングを見計らっての空売りこそが、最高に面白い展開でした。
今回は、絶好の教材になった東芝を使って、悪材料で空売りを仕掛けるタイミングについて解説します。当時のチャートを見ながら、ノウハウの概要・売りの急所・レジスタンスラインを詳細に記載したいと思います。
- 企業不祥事と材料の見極め
- 東芝(6502)の株価チャート
- 窓を埋めないタイミングで空売り
- 窓空け株価が長期抵抗線
- まとめ
- 新たな悪材料が出ればストップ安があり得る。
- 株価の底が見えない。どこで戻るかのタイミングも分からない。
- 戻りを狙っても所詮逆張り。利益が限定的。
- 株価には次期決算の下方修正が織り込まれる。もう元の株価水準に戻らない。
- 本業の商売に悪影響。長期に渡って株価下落が続いて当然。
- 企業の本質が問われる悪材料は売りを仕掛ける。
- 最初のタイミングで売りは無理。戻りを叩くタイミングを待つ。
- ひとつ目のタイミングは窓埋めの動きを叩くポイントで。
- 窓空け後の株価は長らく長期抵抗線になる。
- ふたつ目のタイミングは長期抵抗線へのタッチで。
企業不祥事と材料の見極め
先日から続いた東芝の不祥事。経営陣が粉飾決算を指示し、何代にも渡って利益と決算書を誤魔化して続けたという悪質な内容でした。同じ不祥事であっても、個人情報を流出しちゃったとかテロに巻き込まれたとか、些細な内容であれば買いで臨むのもアリです。しかし、粉飾決算は頂けません。企業の存在意義そのものの是非を問う、非常に根深い材料であるからです。
参考記事:大手企業のスキャンダル・不祥事で安値買い
上記の記事は、不祥事であった場合にも、安値を狙って買いで臨む手法を解説したものです。個人情報流出の巻き添えを食った企業、テロに巻き込まれた事件を例に、安値を拾う手法を解説しました。「些細な」という言葉が適切かどうかは分かりませんが、企業の経営活動に影響しない程度の事件であれば、一時的な株価下落は買いのチャンスです。単なるパニック心理による売りが起きただけですので。この場合、市場が理性を取り戻すと株価は元の水準に戻ります。
参考記事:大手企業のスキャンダル・不祥事で安値買い
東芝の場合は、絶対に買いで臨んではいけない状況でした。第一に株価が上がっていく大義名分がありません。加えて粉飾決算ですので、株価算出の根拠である利益が下方修正されます。買いで臨む場合、以下に並べるように不利な材料が多すぎます。
逆説的ですが、上記を鑑みれば空売りの方が有利なトレードができると判断できます。都合の良いことに、今回のケースでは信用比率を見ても逆日歩のリスクもほとんどありませんでしたしね。
トレードを行う上で課題となるのは、売りを仕掛けるタイミング=急所です。今回は東芝を例に空売りの売りを仕掛けるタイミングを解説していきます。
東芝(6502)の株価チャート
当時の東芝(6502)のチャートを見てみましょう。株価下落の発端となったのは、東芝の不正会計が疑われ始めたタイミングです。以下にチャートを示します。
今になってチャートを振り返ると、いくつか空売りを仕掛ける機会があったことが分かりますね。空売りの急所を書き込んだチャートでもう一度見てみましょう。ただし、最初の大幅下落だけは事前に予想することができないのでポイントから外してあります。
上記のタイミングは絶好の空売りチャンス。ここで空売りを仕掛ければ、存分に利益を得ることができたことが分かります。まあ、これだけでは後付け理論ですね。でも、事前にこの値動きを予想することはできたのです。以下に、株価暴落時の空売りポイントの見極め方を解説しましょう。
窓を埋めないタイミングで空売り
ひとつめの空売りのポイントは「窓を埋めない」ことです。株式相場の格言では「窓は空けたら閉めるもの」とあります。しかし、その半分は嘘です。最悪の材料が出た場合、その銘柄のチャートがすぐに窓埋めを実現することはありません。ずっと後になってからの話です。という訳で、一つ目の空売りポイントは、窓を埋めようとした戻り相場を叩くタイミングです。
株価が窓を開けて下落した場合、その窓を空けた直後の株価が折り返し地点です。チャートはここで反転します。リバウンドの値動きで窓を埋めようと株価は戻りを試します。しかし、決して窓を埋めるようなことはありません。
そのタイミングで仕掛けるのがひとつ目の空売りの急所です。利益確定の目処は、直近安値ですね。利益を伸ばしたいのなら、安値をさらに割り込むことを視野に入れてもいいかも知れません。
余談ですが、大きな下落の後に、株価がリバウンドで反発するタイミングがあることも事実です。多くの拙いトレーダーが大した理由もなしに「割安感」で買ってくるからです。このリバウンドのことを某書では「死猫のジャンプ」と言っていました。まあ、そんなトレードが高いリスクと隣り合わせである点は、冒頭に書いた通りです。
窓空け株価が長期抵抗線
ふたつ目の空売りポイントは、再度の戻りを試して抵抗線に達したタイミングです。抵抗線となるのは、窓を空けて下落した直後の株価です。以下に抵抗線を書き込んだチャートを示します。
下落直後の株価が抵抗線となるのは、ここで損切りをしたい保有者が多く存在するためです。東芝の場合であれば、粉飾決算が疑われ始めた直後に窓を空けて株価が下落しました。突然の出来事だったので、売り抜けなかった株式保有者がたくさんいたと言う訳です。直近高値であることもあいまって、このタイミングで「やれやれの売り」が行われます。
という訳で、既存の株式保有者が損切りをするタイミングを見計らって空売り。これが第2の空売りポイントです。
もし、長期抵抗線に株価が戻ることがあっても、それは第3、第4の空売りポイントになります。まあ、そこまで戻すまでは非常に長い時間が掛かることでしょう。むしろ、将来の下落トレンドが約束されているので、その後は、押し目を狙って売りと買い戻しを繰り返すだけでよいでしょう。
まとめ
企業の存在価値そのものを問う悪材料では空売りが有効です。空売りを仕掛けるタイミングとチャートの解説を行ってみました。まとめを列記してみます。
補足的に価格帯出来高のチャート分析を使うと、もっと明確に売り仕掛けのタイミングが見えてくるかも知れません。詳細は、以下の記事をどうぞ。
参考記事:価格帯出来高のチャートを使った売買判断
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