このページでは、8月の株式相場の需給要因や傾向と対策を語っていきたいと思います。
8月も終盤に差し掛かり、日本市場にも秩序が戻ったきた今日この頃。例年、8月と言えば夏枯れ相場で有名です。しかし前半には企業の決算、後半には9月に向けた銘柄見直しの時期と相場が大きく転換する季節です。夏の株式相場はお盆を越えると市場参加者が戻り始め、カオスであった前半の状況から徐々に回復を見せてきます。
今回は、8月を上旬・中旬・下旬に分けて解説し、個別銘柄の買い方を探っていきます。
- 8月上旬は決算期
- お盆は個人の独壇場
- 9月の優待銘柄は
- 下旬は銘柄見直しで買い
8月上旬は決算期
8月と言えば、企業の半期決算が行われる時期です。7月上旬から8月上旬にかけて、大手企業から中小銘柄まで半期の売り上げ・利益を公表します。ここでは毎年、ちょっとした波乱が起きます。海外投資家の売りです。
興味のある方は、まず以下の記事をご覧ください。読んでみると分かりますが、8月というのは外資系ヘッジファンドの売りの時期です。彼らは9月が決算です。45日ルールに基づいた利益確定売りが相次ぎます。
参考記事:ヘッジファンドの45日ルールと売りの時期
外国人の手法は一見奇妙な所があります。例え好決算が出ても、そこで売ってしまうのです。それもそのはず。彼らは売る相手を探しているためです。好決算という好材料を見て買う個人投資家に売りつけることを考えているのです。外国人比率の高い銘柄ほど、よく売られる傾向があります。
外国人比率は四季報を読めば分かります。大体、20%位の比率があれば、結構な外資が入ってますね。四季報CD-ROMでは、海外投資家比率をベースにスクリーニングをかけることも可能です。外資の入っていない銘柄を抽出して決算に賭ける。そんな投資手法も面白いかも知れませんね。
お盆は個人の独壇場
決算期を過ぎるとお盆休みがやってきます。この時期、普段は投資をしないサラリーマンもニュースや新聞で興味を持つ方が多いかも知れません。一方で、プロは売買の手を休めます。決算の数字を読み込むためです。8月中旬は、相対的に個人投資家の売買比率が高まる時期です。
前章で書いた決算も、お盆になれば一段落します。外国人の利益確定売りも一巡し、株式相場は底を打ったように静まりかえります。この時期が底になる銘柄も多いことでしょう。我々個人投資家としては、休みを利用して勉強や四季報のチェックに時間を充てたい所です。
株価底打ちと書きましたが、一部の銘柄はこの時期も上がり続けます。理由は、個人投資家の好みに合い、買われるからです。プロの売りもなければ外圧もないので、個人投資家もやりたい放題です。マザーズ市場や優待銘柄など、個人投資家の割合が多い銘柄で顕著ですね。決算発表で失敗しても、そのような銘柄を絞り込めば損を取り返すことができるかも知れません。
9月の優待銘柄は
9月といえば、一部の個人投資家の方にはお祭りです。そう。株主優待ラッシュの季節です。株主優待銘柄は年2回、3月と9月に集中して権利確定日を迎えます。9月の優待銘柄を仕込むなら8月も中盤のうちでしょう。
9月の優待には個人投資家に人気の商品が多く含まれるのも特徴です。ギフトやお菓子の詰め合わせ、お米やハムなど。堅実な所では使い勝手の良いクオカードなどでしょうか。この時期を楽しみに現物株の保有を続けてきた方も多いかと思います。
ただちょっと待って下さい。冒頭に書いた通り、9月は株価が底打ちする季節です。優待銘柄も例外ではなく、夏の暑さを過ぎると自然と忘れられてしまいがちです。株主優待を取るか、きっちり利益を現金で取るか。ここは思案のしどころですね。
どうしても株主優待が欲しいなら、今のうちにクロス取引を仕込むという手もあります。8月の間であれば、まだ逆日歩のかからない一般信用が残っているかも知れませんね。詳しく知りたい方は、以下の記事を併せてどうぞ。
下旬は銘柄見直しで買い
最後に8月下旬の攻略法です。9月の彼岸底に向かってなかなか難しい所ですがヒントになるものがあります。冒頭に書いた決算と機関投資家の銘柄選定です。国内も海外も、機関投資家は夏の間に決算書を読んで、下期に臨む銘柄を入れ替えます。投資用語でポートフォリオの入れ替えと言われますね。
彼らの銘柄選定の方法は様々です。成長株を重視して投資するグロースファンド。利回り重視で銘柄を選ぶ配当性志向ファンド。割安株を探して投資するバリュー投資などなど。ファンドのテーマによって、見る指標も異なれば、買い増し・売り抜けする銘柄も異なります。
決算を見る点は買いでも売りでも共通しています。8月上旬の決算で指標に大きな変化があった銘柄は目を付けるべきでしょう。例えばPERという指標。PERは株価の割安感を示す数値です。この数字は、通期の利益予想を元にはじき出されます。予想ですから一年の途中で修正されることもあります。特に中間決算に伴い上方修正・下方修正があった銘柄は入れ替えの対象となる可能性が高いと思って良いでしょう。
上記の記事は、オークマ(6108)の下方修正を見越して決算前に空売りを仕込んだ例を紹介しています。この場合は、他の銘柄から決算を予想できたので仕込みが容易でした。ただ逆の手法として、決算が出てから銘柄を仕込むという手もあります。夏枯れ相場も一服した8月後半からは、割安なまま取り残されていた銘柄が機関投資家に拾われる傾向があります。
割安銘柄の探し方では「上方修正」「PER○○以下」などがキーワードでしょう。不当に売り浴びせを受けた銘柄なら「下方修正」や「25日移動平均乖離率」がポイントでしょうか。これらの検索語や指標でスクリーニングを掛ければお宝銘柄が見つかるかも知れません。スクリーニングには四季報のCD-ROM版が便利です。
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