久々のブログ更新です。今回は株シストレ検証ソフト「イザナミ」を使いこなすためのヒントを書いていこうと思います。
株式のシステムトレードとしてイザナミはもはや定番の選択肢になりつつあります。パレット形式で使い勝手良く、プログラミングレスでルールの作成ができ、シグナル表示から資金管理までできてしまう万能ツールです。
ただ、多機能ゆえに初見ではなかなか気付きにくい使い方も存在します。そこで今回は、イザナミを使いこなすためのノウハウをいくつかご紹介したいと思います。
いや、イザナミに限りませんね。シストレ全般に有効なノウハウを10個選んで記載してみました。ご活用ください。
Contents
はじめに
はじめに今回の記事を思い立ったきっかけから書いていこうと思います。
最近、管理人のルール開発熱が再燃しています。そんな中、ヒントになる情報を探していたらイザナミの中の人が書いているノートに行きつきました。非常に有用で、イザナミを使い始める方はもとより、中級者以上の方にも参考になる情報がたくさん載っています。
こりゃ、負けてられん。という訳で、管理人も自分のノウハウを公開することに決めました。ただ、あまり引き出しは多くないのと、コアな部分は自分専用ルールの公開にまで踏み切る必要があります。そこで、今回は10個だけノウハウを選んで公開することにしました。
材料は提供するので、あとは読者の方で料理して頂きたいというスタンスです。もし、ルール作り全体の流れや具体的な内容を知りたいのであれば、別途、記事を用意してありますので、そちらの参考にしてください。
シストレに使えるノウハウ10選
そんな訳で、以下に使えるノウハウ10選と銘打って、ルール作りに有用だと思うヒントを公開していこうと思います。
高値ブレークの表現方法
まずはジャブから打っていきましょうか。高値ブレークの表現方法です。
「高値ブレーク」というのは「50日間の高値を上抜いた」とか「新高値を更新した」とかいう状況を指す言葉ですね。その後も株価が上がり続ける可能性があるので、しばしばセットアップや買いシグナルとして利用することがあります。
シストレでルールを作る際には、この高値ブレークを文章化して、フィルター条件に落とし込まなければなりません。イザナミで表現する場合にも、いくつかの方法があります。例えば、以下の表現方法です。
- 高値(当日)が期間高値(1日前・50日間)より大きい
- 高値更新日数(当日・50日間)が0より大きい
- 過去10日間の間に期間高値更新日数(当日・50日間)が0より大きい日が1日以上存在する
一番複雑な最後の例をイザナミの設定画面で表すと、以下のスクリーンショットのようになります。
ボリンジャーバンドは押し目買いに使える
続いてのヒントはこちら。押し目の表現方法です。
よく相場界隈では「押し目」という言葉が使われます。システムトレードでは、この押し目もやはり文章化してやらねばなりません。
その際に便利な方法が短期のボリンジャーバンドを使うやり方です。例えば、以下のようなルールを作ると「長期的に上昇トレンドにある株価の短期的な押し目を狙う」というフィルタリングが可能です。
- 3日連続で株価の25日移動平均線が大きい
- 終値がボリンジャーバンド(5日・-2.00σ)より小さい
すべての銘柄の押し目を狙える訳ではありません。ただ、ボリンジャーバンドのバンド幅を超えるような「売られすぎ」の銘柄を抽出することが可能になります。
日経平均フィルターを使うと勝率が上がるかも
よく「地合いが悪い」「相場付きが悪い」といった表現をすることがあります。こうした相場の状況をシステムトレードに組み込むことも可能です。日経平均フィルターです。
例えば、イザナミの場合ですと「相場情報」を作ることで対応できます。以下のような感じです。
- 相場情報で銘柄を日経平均株価に限定する
- 「1日連続で移動平均線(当日・25日間)が高い」ならば集計する(1を集計)
- 集計値が0より大きければ仕掛ける
特に買いのルールでは、日経平均株価が上向きの方が収益が良い傾向があります。この日経平均フィルターを使うことでドローダウンや勝率を改善できることがあります。
利益の期待値が少ない場合の対処法
まれに「優位性があることは分かっているがプロフィットファクターが小さい」というルールができることがあります。儲かるようで儲からないルールです。これはボラティリティの高い銘柄に絞り込むことで改善できるケースがあります。
ボラティリティの大きさは「ヒストリカルボラティリティ」の指標を使ってフィルタリングします。例えば、以下の設定例です。
このようにすることで、値動きの大きい銘柄のみを抽出することができます。その結果、プロフィットファクターが向上することがあります。
指値買いで勝率アップ
注文方法として、指値買いを利用することで収益が改善することがあります。例えば、以下の設定例です。
- 翌日指値買い(当日終値-2.00%・終日)
上記のようにすることで、より安い株価で銘柄を仕込むことができます。
ただし、当然ながら約定しないこともあります。ただ、それはシグナルが適切でなかった(=本当のチャンスではなかった)という判断につながります。
上昇トレンドの銘柄を抽出するフィルター
上昇トレンドにある銘柄を抽出する方法はいくつかあります。例えば、以下の例です。
- 終値(当日)が200日移動平均線より高い
- 3日連続で移動平均線(当日・終値・50日間)が大きい
- 3日連続でRCI(50日間)が大きい
最初の方法は、よく海外のシステムトレーダーが好む方法です。いくつかの書籍で見掛けたことがあります。
2つ目の方法は、移動平均線を使った方法です。上昇銘柄であれば、間違いなく移動平均線は連続して上昇します。
最後の方法は、指標(インジケータ)を使った方法です。特に便利な指標が中長期のRCIです。ちゃぶつきが少なく、ゆっくり上がるので、確実にトレンドが出ている銘柄を抽出してくれます。ただし、高値圏(80以上)、安値圏(20以下)ではダイバージェンスが出ることもあるので要注意。
シグナルは多すぎても少なくすぎてもダメ
よく勘違いされるのが「たくさんシグナルを出すルールが良いルールだ」という誤解です。むしろ、多すぎるシグナルは十分にフィルタリングされていない粗雑なルールで、なおかつ実際の発注作業も面倒になります。
では、どのくらいのシグナル数が適切なのでしょうか?
個人的には(というより、どこかの書籍の受け売りですが)、年間100程度。つまり、20年間の検証結果で2,000前後のシグナル数が適切だと考えます。これなら3日に1回程度の売買で済み、シグナル多発で首が回らなくなるリスクを回避することができます。検証結果であまりに多いシグナルが出るようなら、さらに条件を追加し、勝率やプロフィットファクターを向上させながら絞り込む必要があります。
逆にシグナル数があまりに少ない場合は、検証結果に疑問が生じます。サンプル数が少なすぎるため、実運用でブレが大きくなるのです。このケースはフィルタリングの条件を緩和して、検証結果のボリュームを増やしてやる必要があると思います。
現物のスイング・信用のデイトレ
理論的には日本株は信用取引でレバレッジ3倍を掛けることができます。ただし、ルールの性質によっては、レバレッジを掛けると実運用で追証の憂き目に遭うことが多々あります。
経験則として、1週間から数か月のスイングトレードは信用取引に向いていないと考えています。20年分の株価データを検証すれば、やはりどこかで大きなドローダウンを喫します。その場合、注意深く観察すると、追証が発生していることが多々あります。
逆に1日~数日のデイトレードではドローダウンがあまり発生しません。この点、資金の回転率を考えると、レバレッジを掛けてもよいのではないかと考えています。
イザナミでは、複数のルールに対して複数の資金管理設定を設けることが可能です。うまく組み合わせて、程よい加減を探していきましょう。
逆張りの60%・順張りの30%
この数字は何かというと、それぞれのルールを検証した場合の勝率を表しています。大体にして、逆張りであれば勝率60%程度、順張りであれば勝率30%程度の結果になります。
もちろん、これは目安に過ぎません。実際、管理人は勝率80%というふざけたルールも持っていますし、勝率50%でも利益が上がるルールもあります。あくまで目安として考えてください。
デイトレの0.8%・スイングの3%
こちらの数字は、適当な期待値の大きさですね。
個人的にデイトレルールであれば期待値0.8%程度、スイングトレードであれば期待値3%程度は確保しないと厳しいと考えます。それ以下だと、単に検証結果の誤差の範囲で、あまり優位性のあるルールとは言い難いものがあります。
ちなみに管理人の持つルールで最も収益率が高いものは、期待値で9.4%です。これ以上の期待値が出るルールがありましたら、是非とも教えてください。
おわりに
という訳で、今回はシステムトレードに役立つヒントを10個だけ書き出してみました。お役に立てたでしょうか?
どうにもネット界隈を探しても、イザナミで検証しているブログやHPは少なく、情報を得ることがあまりできないのが現状です。この点、今回の記事が界隈に一石投じる結果となれば幸いです。
もちろん「俺もシストレやってるよ!」という方がいらしたら、コメント欄にどうぞ。面白そうな情報をお待ちしております。
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