システムトレードの売買ルール作成を解説するシリーズ第4弾。今回は、手仕舞い・決済のルールを再考したいと思います。
株やFXの売買ルールでは「利益〇%で利益確定」という方法がよく使われます。システムトレードでも同様の方法で運用するのは一つの手段ではあります。ただ、よりスマートな利益確定のルールを考案すると、システムのパフォーマンスが向上することが多々あります。
今回は、そんな利益確定のルールを紹介がてら、売買ルールに改良を加えたいと思います。
- 今回利用する利益確定のルール
- 利益確定のルール変更でパフォーマンス向上
- まとめと次回予告
今回利用する利益確定のルール
最初に今回利用するルールからご紹介していきましょう。とは言っても、仕掛けのルールは前回と同様です。変更するのは、手仕舞い=利益確定のルールです。設定例を見てみましょう。
- 仕掛けのルール
終値がケルトナーチャネルを割り込んだら翌日に終値-5%で指値買い
- 手仕舞いのルール
終値が移動平均線(25日)を上回ったら翌日に利益確定
- 損切りのルール
なし
おや?と思われた方もいるかも知れません。前回までは、損切りのルールとして逆指値-10%を設定していました。しかし、今回は損切りのルールなしでいこうと言うのです。
これは手仕舞いのルールを変更したことに秘密があります。上記のように「25日線を上回る」という、ほぼほぼ必然的に生じる事象を利益確定のルールにしたためです。必然的に生じる事象を手仕舞いのルールにすると、いずれはポジションが決済されます。すると、ポジション決済の時点で、損切りだったか利益出しができたかが決まるのです。やや、不思議な設定方法ですが、システムトレードではよく使う手段です。
イザナミ(スポンサードリンク)を使った場合、利益確定の設定画面は上記のようになります。仕掛けのルールやケルトナーチャネルについて知りたい方は、前回までの連載記事をご覧ください。
- 連載第1回:イザナミで使える売買ルールを作る
- 連載第2回:イザナミでATRを使った売買ルール
- 連載第3回:フィルタを使って売買ルールの勝率アップ
利益確定のルール変更でパフォーマンス向上
それでは検証結果を見ていきましょう。まずは前回までの検証結果をご紹介します。前回までは、利益+10%で手仕舞いをおこなってきました。その場合のパフォーマンスは以下の通りです。
そして、以下が今回の検証結果です。明らかに1トレード当たりの期待値が上がっていることが分かっていただけると思います。
この決済ルールはその本質に「株価は25日線に回帰する」という性質を使っています。特に、いまご紹介しているルールはリバウンド狙いの売買ルールですので、早い段階で25日線に回帰すれば利益が出るという寸法です。25日線は株式業界で古くから使われている指標ですので、強く意識されていることもうまくいく理由かと思います。
まとめと次回予告
そんな訳で、今回は利益確定のルールを一つご紹介してみました。もっとも、これはあくまで一例に過ぎません。100人のシステムトレーダーがいれば100通りの売買ルールがあると思います。今回は、管理人のお気に入りの方法をご紹介してみました。
さて、次回は連載の最終回になります。テーマは「資金繰りの方法」です。イザナミ(スポンサードリンク)でいう所の「最適分散投資」の方法について論じたいと思います。
この最適分散投資では、設定方法をひとつ間違えれば上手なシステムも最悪のパフォーマンスを出してしまいます。特に2008年のリーマンショックをやり過ごすことができるかどうかがシステム開発のカギですね。ご期待ください。
次回連載第5回:株システムトレードで破産しないリスク分散
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