東証一部市場への上位指定が多い時期【一部昇格】

東証一部指定が相次ぐ季節

このページでは、過去の統計データから東証一部市場への昇格発表が相次ぐ時期を紹介していこうと思います。

結論から言うと、東証一部の昇格が多い時期は9月、12月、3月です。2012年からの公開データを集計した結果、明確な傾向が出ました。過去の指定実績は東証HPに公開されています。データ解析は至って簡単で、Excelで集計しました。

ここでは集計データを元にして、企業側の背景を考察していきたいと思います。

  1. 東証一部指定の実績データ
  2. 市場変更のデータ考察
  3. 株式トレードへの応用

東証一部指定の実績データ

始めに集計データからお見せしましょう。以下のグラフは東証一部市場への変更があった月を直近4年分まとめたものです。2012年分から公開されている過去の実績を拾い上げ、Excelで各月毎に振り分けました。

各月ごとの東証1部への指定替え銘柄数集計

市場変更データの情報源は、こちらの東証HP上に公開されているものです。同ページでは東証2部、マザーズ、JASDAQと元の市場で分類されています。今回の集計は、各市場からの上位指定銘柄を分類せずに、単純にまとめて足し合わせたものです。

市場変更のデータ考察

グラフを見て頂くと分かる通り、東証一部市場への市場変更が行われる時期には明確な偏りがあることが分かります。具体的には、3月、9月、12月です。3月と12月は、それぞれ年度末、年末です。キリの良い時期に市場を変える、いわゆる駆け込み昇格のあったことが分かります。

各月ごとの東証1部への指定替え銘柄数集計

個人的に面白いと思うのは、9月から徐々に昇格発表が増え始めている点です。おそらくですが、上期の営業実績を見て企業サイドが審査を申請しているのではないでしょうか。ご存知のように、東証一部に市場変更するためには、経常利益、株主数、株式売買の流動性など、複数の要件をクリアする必要があります。

参考:東証一部指定条件を根拠に昇格銘柄を予想する

特に株主数を増やしたい場合は、企業は株主優待の新設を行って新規株主を増やします。ただ、株主優待を実施するにも経費が掛かりますから、費用捻出の目処が立たねばなりません。この点、上期の営業利益が良ければ企業も太っ腹になり、株主優待の実施に踏み切るという経営判断がしやすいのではないでしょうか。

株式トレードへの応用

今回のデータを活用する方法は、やっぱり東証一部期待での買いでしょう。個人的には、9月~12月に一部指定が相次ぐという傾向に注目しています。時期から逆算すると、買いの時期が8月頃になるためです。8月といえば夏枯れ相場。市場変更の期待が掛かる銘柄を安く仕込むチャンスです。

各月ごとの東証1部への指定替え銘柄数集計

さらに言えば、9月以降は実績相場になりやすい傾向があります。上期の決算が良いようなら東証一部を狙う余裕もあるでしょう。実績相場で株価上昇からの昇格期待・実現でさらに上昇という旨味がありそうです。株主優待の新設でもしていれば、優待目的の買いも集まります。

こうしたことを考えると、8月の時期に仕込むべきは以下のような銘柄でしょうか。

  • 直近で株主優待を新設した
  • 上期の営業利益が良い
  • 夏枯れ相場で割安感がある

毎度のことながら、今年の夏も四季報のデータを見るのが面白くなりそうです。

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コメント

    • okuribitohajimemasu
    • 2016年 9月 23日

    非常に為になる記事の数々をありがとうございます。

    自分はチャートを理解出来ていないことが多く、普段は時系列データばかり読んで頭を悩ませていたのですが、
    ブログ主さんの記事は非常に読みやすく、一気読みしてしまいました。
    本当にありがとうございます。

      • 管理人
      • 2016年 9月 23日

      ありがとうございます。

      チャート分析の肝は、数多くのチャートを見ることですね。ただし、「それ」を「それ」と気付くための知識が必要です。やっぱり勉強あるのみですね。管理人も日々、研究しています。

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