移動平均線で利益確定のサインを読む

今回は、テクニカル分析を利用した利益確定のシグナルについて解説します。8日指数移動平均線を利用した判断手法です。この指標は単純なようでいて短期的なトレンドの転換を的確に示す優良なインジケータです。

多くの方が利益確定のタイミングを間違えるのには理由があります。トレンドの上昇・下降を明確に定義できていないことが原因の一つでしょう。この点、自分なりにトレンドの定義を明確にできれば、自信を持って相場の天井・転換を判断することができます。以下には、短期トレンドの転換という観点で移動平均線を使い、売買シグナルを見極める方法を解説します。

  1. 利益確定の難しさ
  2. 8日指数移動平均線とは
  3. 最高の利益確定は芸術品だが

利益確定の難しさ

株式に限らず、トレードでは入口より出口戦略の方が難しいと言われています。その背景には、人間の悲しい心理があるのでしょう。人は報酬を目にするとなかなか我慢せずにはいられません。一方では、利益を最大化せねばトータルで勝てないという理性が働きます。株価が頭打ちする局面では、多くの人の利益を伸ばしたい欲望と減らしたくない理性が一騎打ちを演じています。

利益確定の局面に出会う機会が少ないことも、スキルを伸ばし切れない原因なのかも知れません。取引の機会として、仕込みの回数はいくらでも増やすことはできますが、一部の取引にしか利益確定の機会はやってきません。必然的に利益確定を経験するチャンスが経るので経験値が貯まらないという寸法です。

具体的な話に移りましょう。利益確定を失敗する決定的な理由はトレンドの定義を明確にできていないことにあります。「上昇トレンド」「下降トレンド」と言う言葉があります。みなさんは、その定義を明確に言い表すことができるでしょうか?

上昇トレンドと下降トレンド

上昇トレンドと下降トレンド

答えは皆さん、それぞれに異なることでしょう。今回は、管理人の定義をご紹介します。紹介するのは、ごく短期的なトレンドを示すテクニカル指標。その名も「8日指数移動平均線」です。

株式に限らず、相場では利益は可能な限り伸ばすべきもの。早めの利益確定は御法度です。その点、利益確定のタイミングでは、確実にトレンドは上昇から下降へと転換します。その転換するタイミングさえ的確に捉えることができれば、ギリギリまで含み益を引っ張る最大限の努力を成すことができるのです。

8日指数移動平均線とは

株式相場では、あまり聞かないテクニカル指標かも知れません。チャートソフトの種類や証券会社の種類によっては、用意されていないこともあります。その場合は「8日加重移動平均線」と読み替えても良いでしょう。両者は数学的には意味が異なりますが、ほぼ同等の効果を発揮します。

指数移動平均線も加重移動平均線も、中身はなんのことはない移動平均線の一種です(移動平均線については、以前の記事でも紹介しました。詳しく知りたい方は、以下の記事もどうぞ)。

記事:株式チャートの移動平均線~その意味と使い方

指数もしくは加重と頭につく点で特殊なのは、直近の値動きに重み付けを加える点ですね。数学的に言うと難解なのですが、要は「最近の値動きほど算出する値に大きくカウントされるよ」という計算をします。ちなみにExcelでチャートを作る方はGoogle先生に聞いてみると数式が見つかるかもしれません。

今回は、平均値を割り出す期間に「8日」を設定します。この数字は自分の感覚にあったものでもOKで、自分流にアレンジしてもよさそうです。まあ、欧米では8日がセオリーのようですね。普段から一貫して同じものを使い続けていれば慣れるはずです。

最高の利益確定は芸術品だが

8日指数移動平均線を利益確定の目安にする方法を解説しましょう。要は移動平均線でトレンドの転換を読み、転換を確認した所で利益確定を行うという寸法です。厳密に言えば天井は逃しますが、そんな利益確定のタイミングは滅多にできるものではありません。芸術といってよいでしょう。むしろ重要なのは、早過ぎもせず、遅過ぎもせず、コンスタントに90点のタイミングを計っていくことです。

トレンドの見方は以下の通りです。8日指数移動平均線より上ならば強気=買いトレンド、下にあれば弱気=売りトレンドです。トレンド転換は、この上下関係が反転した所と定義します。以下のチャートを見てみると仕込みと利益確定のポイントが見えてきますね。

8日指数平均曲線付き株価チャート

8日指数平均曲線付き株価チャート

トレンドの転換を明確に示しますから、自信を持ってホールドorバイの判断ができますね。まあ、短期のトレンド転換を示すシグナルですから、押し目の後に最上昇に転じることもままあります。そのときは、また買えばよいだけのことです。

気づいた方も多いと思いますが、この指標は買いの場面でも効果を発揮します。「落ちてくるナイフは拾うな」と言いますが、トレンド転換が確認できれば「落ち続けているナイフか、地面に刺さった後か」の判断が付きますね。「足」の読み方や取引高の急増の読み方と併用すると分析精度も上がります。もっとピンポイントで利益確定を行う場合は必要な技術ですね。

記事:取引高急増でトレンド転換を読み解く

底値拾いも天井売り抜けも、甘美の罠です。どちらも失敗すれば、少なからずメンタルに動揺を来します。何も底値や天井を狙わなくても90点取ればいいんです。のんびり構えて的を絞れば、精神的にも安定したトレードをすることができるでしょう。

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