サイバーエージェントと東証マザーズの10年ルール

サイバーエージェントと東証マザーズの10年ルール

遅筆ですが、去る8月29日。サイバーエージェント(4751)の東証一部指定が発表されました。長年、マザーズ市場に留まっていた経緯のある同社でしたが、ある理由により東証一部に「昇格せざるを得ない」状況となりました。

ある理由とは、マザーズ市場10年ルールです。昨年、マザーズ市場に滞留期限が設けられて、サイバーエージェントは、10年目の期限を迎えていたのです。

今回は、マザーズ市場の10年ルールの概要を解説しながら、サイバーエージェントの今後の株価を考察していきたいと思います。

  1. マザーズ市場の10年ルール
  2. 残留・昇格のメリット・デメリット
  3. TOPIX組み込みという買いの材料

マザーズ市場の10年ルール

冒頭に書いたとおり、サイバーエージェントの東証一部指定が発表されました。発表があった日が8月29日(金)でした。そして、翌週の9月5日(金)に、市場一部に変更されました。一部指定の発表から市場変更までの期間は、異例の早さです。おそらく、事前に協議が重ねられてきたのでしょう。実は、サイバーエージェントの昇格は、以前から決まっていたようなものでした。

そう言い切れる根拠となるのが、マザーズ市場の10年ルールです。

マザーズ上場後10年が経過した場合は、マザーズへの継続上場または市場第二部への市場変更を選択していただきます。

東証マザーズHPより

東証マザーズというのは、基本的に上位市場への昇格を前提にした企業が上場する市場です。従来は、昇格までの期限が曖昧でしたが、平成23年の制度改正により、10年という明確な期限が定められました。

サイバーエージェントが新規上場したのが、平成10年3月。同社は、すでに10年のマザーズ残留期限に引っかかっていた訳です。制度改正後、暫定措置として市場変更までの猶予期間が設けられていましたが、その猶予期間が今年平成26年まででした。サイバーエージェントは、今年中にマザーズ市場を(良くも悪くも)追い出されることが決まっていたのです。

市場の変更先としては、東証一部が妥当な位置でした。サイバーエージェントの時価総額(後述)は、東証二部では大きすぎます。そもそも、東証二部に昇格しても、企業としてあまり旨味がありません。理屈の上では上場廃止という可能性もありましたが、ここまで大きくなった企業が上場廃止してしまうと、投資家に愛想を尽かされます。現実的な線ではありませんでした。

残留・昇格のメリット・デメリット

東証一部の指定基準に照らし合わせると、サイバーエージェントの市場規模は、余裕があり余るほど適合基準をクリアしています。

参考記事:東証一部の昇格条件と予想判断の基準

では、なぜ、これまで東証一部への昇格を先延ばしにしてきたのでしょう?個人的な意見ですが、株主からの圧力を避けてきたのだと思います。少し、管理人なりの推測を語りたいと思います。

サイバーエージェントという会社は、IT企業の中でも、比較的福利厚生の行き届いた企業です。また、女性活用や成功時の莫大な報酬制度に力を入れるなど、日本の企業の中では、かなり独自路線を走っている印象がある企業です。

そのようなユニークな経営をするには、経営陣の能力と裁量が必要です。株主の顔色を伺っている多くの雇われ経営者では、なかなか思いつきませんし、実行に移すこともできません。

ところが、東証一部に市場変更すると、否応なしに投資期間の資本が入ります。この点、経営陣としては外部からの介入を避けたい思惑があったのでしょうか。

そもそも、同社は一般社会に対して、あまりアピールする姿勢を見せません。ある種、潔いほどの新興企業のイメージを保ち続けました。この点、今回の東証一部指定は、経営側にとっては不本意なものなのかも知れません。

TOPIX組み込みという買いの材料

最後に、肝心の株価の話をしてみましょう。以下は、東証一部指定以後の株価チャートです。

サイバーエージェント一部昇格ニュース後のチャート

サイバーエージェント一部昇格ニュース後のチャート

発表後の翌営業日9月1日に高騰したものの、その後の株価はいまいちパッとしません。まあ、東証昇格銘柄の株価推移は得てしてこんなものです。サプライズのない東証一部指定銘柄は予想が当たってもあまり儲かりません。

では、今後の株価は伸びないかというと、むしろ逆です。サイバーエージェントはすばらしいポテンシャルを秘めています。その根拠は時価総額の大きさです。四季報には、以下のように記載されています。

サイバーエージェント:時価総額2,512億円(4月30日時点)

時価総額が大きいと、TOPIX買いのインパクトが大きくなります。TOPIX買いの金額は、基本的に時価総額の大きさに比例します。この点は、今度まとめたいと思います。TOPIX買いについては、以下の記事を読んでみて下さい。

参考記事:TOPIX買いでコバンザメ投資法

同じく四季報の営業利益を元に計算してみると、予想PER20倍と、そこそこの大きさです。決して割安銘柄ではありませんが、買いにいけない水準ではありません。

参考記事;割安銘柄の買い時~PERを使った売買のタイミング

総合判断としては、「買い」だと思います。彼岸底のこの時期に買いに入ると大きな利益が出そうです。来月10月末にTOPIX買いがあるので、その時期を狙ってみるのも面白いかもしれません。

以上、サイバーエージェントの一部昇格ニュースに対する、管理人の主張でした。

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