株主優待で予想する東証一部指定替え銘柄

企業アクションで東証一部指定候補を予想

指定替えを目指す上場企業が取るアクションをヒントに東証一部への昇格候補を予想してみたいと思います。企業が東証一部の形式要件を満たすためのよくあるパターンは株主優待の新設です。個人投資家による優待目的の買いを誘うことで、株主数と流動性の増加を狙っています。裏を返せば、株主優待の新設は東証一部を目指す企業の意思表示であるとも言えます。

ここ最近、株主優待を新設する会社がちらほら出てきました。今回は企業の株価対策の切り口から東証一部指定銘柄を予想したいと思います。

  1. 東証一部指定替えの条件
  2. Hamaeeの分売・昇格コンボ
  3. 株主優待で東証一部指定を予想する
    • 土木管理総合試験所(6171)
    • PALTEK(7587)
    • システム情報(3677)
    • AFC-HDアムスライフサイエンス(2927)
  4. あとがき

東証一部指定替えの条件

最初に東証一部に指定替えするためのキモである「ルール」の確認をしておきましょう。東京証券取引所では、東証一部に属するための条件を設けています。以下の通りです。

  • 株主数が2200人以上
  • 時価総額が40億以上
  • 黒字額が2年で5億円以上
  • 株式の流動性が2万単位以上
  • 他に経営方針等々

投資家サイドから見て、一部昇格を予想する上でポイントになるのは株主数流動性です。上記の通り、一部指定を受けるには、両方の数字で形式要件をクリアしなければなりません。逆に言うと、この条件をクリアするために企業が指定替え対策のアクションを取ることがあるのですね。

株主数対策としては株主優待の新設、流動性対策としては立会外分売が常套手段になっています。株主優待を設ければ、優待目当ての個人投資家が買いますし、分売を実施すれば市場に出回る株が増えますからね。

詳しい話は以下の記事にも記載しています。ご覧あれ。

参考:東証一部の昇格条件と予想判断の基準

Hameeの分売・昇格コンボ

前述の指定替え対策を取った企業をひとつ、例に出しましょう。マザーズ銘柄のHamee(3134)です。以前から株価上昇ランキングに頻出していた人気銘柄でしたが、とうとう東証一部指定となりました。

このHameeが一部指定のために取った最後のアクションが立会外分売です。時系列でイベントを並べていくと以下の通りになります。

  • 6月10日 立会外分売を発表
  • 6月28日 立会外分売を実施
  • 7月20日 東証一部指定を発表
  • 7月27日 東証一部に変更(予定)

まあ、Hameeの場合は立会外分売を発表した時点で、既にIR広報から東証一部指定を申請していいる旨を公表していました。いわゆる「分売からの一部指定コンボ」ですね。最近の立会外分売でよく見るタイプのパターンです。これはまあ、予想というよりニュースに気付くか気付かないかの差でしょう。

株主優待で東証一部指定を予想する

では、今後の東証一部指定銘柄を予想していきましょう。直近では市場が落ち着いていることもあり、いくつかの企業がいくつかのアクションを打ち出しています。当然、その中には一部指定への布石と思われるアクションも含まれています。ここに注目する訳です。

以下は管理人の予想する東証一部指定候補です。この記事は2016年の7月24日に書いています。将来、この記事を見て、もし予想が当たっていたらご喝采!という訳です。

※以下の内容は個人的な予想を述べたものであり、事実を保証するものではありません。売買は自己責任にてお願いします。悪しからず。

土木管理総合試験所(6171)

多分、本命となる銘柄がこちら。東証二部の土木管理総合試験所です。なぜ、わざわざ二部の銘柄なのか。それには新規上場後の経過期間が関係しています。

7月20日発表。100株以上の株式保有者にクオカードをプレゼント。権利確定月は12月。

上記の通り、同社はこの度に優待を新設しました。上場一周年の直前となるこのタイミングで(!)。ここはポイントですね。同社の株式上場は一年前の2015年8月なんです。

東証二部への新規上場って、東証一部に微妙に届かなかった銘柄が多いんですよ。そんな銘柄は、二部で1年間だけ様子見することを義務づけられています(一年ルール)。現在の株主数は1700人弱で2200人に届かず。つまり、一年ルールの明けるこのタイミングで優待新設ということは・・・。

期待の掛かる本命銘柄だと思います。

PALTEK(7587)

同じく東証二部のPALTEKも株主優待を新設しました。なんか土木管理総合試験所と全く同じアクションなんですが、東証の推奨するテンプレートでもあるのですかね。

発表は同じく7月20日。内容も同じく100株以上の保有者にクオカードをプレゼント。権利確定月も同じく12月。

四季報を見ると、株主数は2346名。一応、形式要件はクリアしてますね。ただ、浮動株比率がやたら低いですね。これって、流動性に問題アリってことですね。

流動性の形式要件を満たすための株主優待新設と考えれば・・・。時間は掛かるかも知れませんが、期待はしてよいと思います。長らく値動きが安定しているので、吹き上がるのを期待して長期ホールドしても良いかも知れませんね。

システム情報(3677)

こちらはJASDAQの銘柄。まあ、JASDAQから一足飛びで一部に昇格する銘柄は少ないのですけど。一旦、二部に属して期間を置くかも知れません。一応押さえておきましょうか。

同じく株主優待を新設しています。

7月20日発表。100株以上でクオカードプレゼント。さらに抽選で20名様に10万円相当の旅行券。権利確定日は9月。

株主数は2000名。確かに微妙に形式要件に届いていませんね。時価総額も40億円弱でぎりぎりの水準。一部への指定替えまでは時間は掛かるかも知れませんね。買うなら上昇トレンドをうまく捉えたいところです。

AFC-HDアムスライフサイエンス(2927)

おまえはいつ昇格するんだよ!という銘柄。個人的に、何度か裏切られています。まあ、株価は上がっているのですが・・・随分前に手放しました(残念)。JASDAQ銘柄です。

立会外分売を実施。7月20日発表の7月28日~8月2日実施。申し込みの上限600,000株に対して、一人当たりの上限が10,000株。

今回とったアクションは、優待新設ではなく立会外分売です。株主数の増加は意識していないのでしょう(最悪の場合だと、株主は60人しか増えない計算)。流動性対策と思います。直近では希薄化懸念で売られていますね。まあ、市場全体の地合いが良いので、分売に参加しても良いかも知れません。

ちなみに株主数、流動性、時価総額等々、とっくに形式要件は満たしています。今回の分売が一部指定への決定打になれば良いのですが。

あとがき

以上、コーポレートアクションから東証一部銘柄を予想してみました。東証一部ネタは久々の更新です。直近まではマザーズ市場に付きっきりだったので、すっかりご無沙汰していましたね。ポケノミクス相場とか、管理人は完全に乗り遅れたので、別の切り口から買い銘柄を探ってみました。

飽くまで感覚的な経験則なのですが、7月、8月のこの時期は東証一部指定が多い気がします。裏を取りたい所ですね。ここら辺は暇を見つけて統計取ってみましょうか。お盆辺りに研究する時間が取れればいいなと思います。

ちなみに、東証一部の昇格候補はスクリーニングを掛けて全てピックアップしてあります。ある程度は頭に入っているので、企業がアクションを取るとピンときますね。後はニュースウォッチをしていれば良いだけです。ここら辺のノウハウは以前の記事にも書きました。

参考:東証一部指定条件を根拠に昇格銘柄を予想する

今回の記事で東証一部予想に興味を持たれた方。まずは四季報を見直してみてはいかがでしょうか。CD-ROM版のスクリーニング機能が便利ですよ。

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コメント

    • ひばり
    • 2016年 7月 25日

    いつも楽しく拝見しています!

    40億円は時価総額の誤りかと思いますが、ご確認ください。

    四季報のcdロムがどんな感じで、便利なんでしょうか、自分も試してみないとですね

    • 管理人
    • 2016年 7月 26日

    ひばりさん

    ミスは訂正しておきました。

    四季報CDは四季報記載の情報で検索を掛けることができます。
    例えば今回のケースなら「①時価総額40億円以上、②株主数1700人以上、③経常利益5億円以上」といった具合です。
    一度スクリーニングの検索式を作れば、四季報の新版にアップデートしても引き続き利用できます。
    これで東証一部を狙える会社をリストかすることができますね。

  1. 2019年 5月 02日
    トラックバック:システム情報(3677)

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