日曜2限の株式講座

大手企業のスキャンダル・不祥事で安値買い

大手企業のスキャンダル・不祥事で安値買い
大手企業のスキャンダル・不祥事で安値買い

企業に不祥事やスキャンダルが浮上すると、その企業の株価は下落します。背景には、想定外の問題浮上による投資家たちの不安や戸惑いの心理があるようです。ネガティブサプライズにより、我先にと投資家が投売りをする状況。いわゆる「狼狽売り」が発生します。

そうした企業スキャンダルも、内容とタイミングをうまく見極めると「買い」で利益が出る可能性があります。狼狽売りでムダに割安になった株を狙う訳です。今回はいくつかの事例を交えて、企業スキャンダルが起こった場合の逆張り買いの手法を解説しましょう。

  1. 日揮(1963)のアルジェリア人質事件
  2. ジャストシステム(4686)の個人情報利用問題
  3. マクドナルド(2702)の鶏肉問題
  4. まとめと注意点

日揮(1963)のアルジェリア人質事件

今回は、実例を交えながら解説を行いましょう。最初の事例は、2013年に事件が起きた日揮(1963)の例です。同年1月16日、アルジェリアの天然ガス精製施設で武装集団が人質を拘束するというニュースが流れました。人質の中には日本人10人が含まれ、不幸にも後日、全員の死亡が確認されました。

この亡くなられた日本人の人質が、日揮株式会社の関係者であったのです。このため、同社の株価は下落。主要事業である新興国でのプラント開発に伴う運営リスクが浮き彫りになりました。

関係者の方には大変申し訳ないのですが、管理人は株価下落を買いの機会と捉えました(さすがに実際に買うほど図太くはありませんでしたが)。関係者がテロの犠牲になったことは不幸ではありますが、大企業である日揮の事業を根本から覆すほどの影響力はないと考えたためです。同社のリスク管理について、特段の手落ちがなかったことも汚名挽回の材料でした。受注と売り上げを減らすほどの問題には発展しないと考えた訳です。

結果は仮説通りに3ヶ月で株価が回復しました。事件で売り込まれる前の水準に戻したのです。

日揮(1963)の人質事件と株価回復までのチャート
日揮(1963)の人質事件と株価回復までのチャート

上記の例のように、大企業に多少のスキャンダルがあっても、よほどのことがない限り潰れません。下落した株価であっても、いずれは元の水準に戻す動きが生じます。これを買いのチャンスと捉えて、利益を出す訳です。

ジャストシステム(4686)の個人情報利用問題

冒頭から強烈な事件を扱ってしまったので、少し引いてしまった方もいるかも知れません。次は、少しライトな事件を例に出しましょう。ベネッセの個人情報流出問題です。2014年の7月9日、ベネッセコーポレーションが個人情報を流出していた事実が明るみに出ました。流出規模が大規模であったため社会問題となり、ニュースの一面はこの話題で持ちきりとなりました。大きな出来事であったので、記憶にある方も多いかもしれません。

このベネッセの個人情報流出事件で巻き添えを食った企業があります。ジャストシステム(4686)です。巻き添えというのは、同社がベネッセから流出した個人情報の名簿を購入し、利用していたという嫌疑が降りかかったことです。「嫌疑」と表現しているのは、飽くまで疑いであって事実は確定していなかったためです。加えるならば、事実関係というものは、実は株式相場にとってはどうでも良い話でもあったりします。

管理人がジャストシステムの巻き添えを知ったのは、通勤途中の駅の電光掲示板を見てのことです。「株価は下落するだろう」「そして買いのチャンスだろう」。ニュースを見た瞬間、買いの論理が閃きました。

ジャストシステム(4686)の個人情報利用問題と株価チャート
ジャストシステム(4686)の個人情報利用問題と株価チャート

買いの論理が働いた理由は、3つありました。ひとつは、ジャストシステムが当事者ではなく、あからさまに巻き添えを食った側であったこと。ふたつめは、倫理性には欠けるものの、名簿業者から個人情報を買うという手段には法律上の問題がないこと。最後に何よりも、企業倫理の欠如というものに対して、相場や経済は大した関心を示さないことです。これらの要素を経験的に知っていたためです。

ジャストシステム(4686)の株価下落と回復のチャート
ジャストシステム(4686)の株価下落と回復のチャート

結論を言うと、管理人は上記の発想で安値で仕込み、2ヶ月ほどで株価が回復したところで売り抜けました。まあ、同社が東証一部の新規指定を受けたばかりで、上昇トレンドの途中であったことも買いを後押ししましたね。さすがに渦中のベネッセ(9783)の方は、株価が回復するまで長い時間がかかりそうでしたので、躊躇しましたが。結果的に、問題の中心から少し外れた銘柄を選んで買ったことが、早期の利益発生につながりました。

マクドナルド(2702)の鶏肉問題

最後に、この記事を書いている時点で直近の事例をご紹介します。マクドナルドの期限切れ鶏肉問題です。今年2014年の7月22日、日本マクドナルドが主力商品のチキンマックナゲットの販売中止を発表しました。仕入先の中国食肉加工会社が使用期限が切れている鶏肉を流用していたことが判明したのです。食の安全問題が浮上し、同社の管理責任が問われ、社会から非難の対象になりました。株は窓を空けて下落しました。

マクドナルド(2702)の鶏肉問題と株価下落
マクドナルド(2702)の鶏肉問題と株価下落

さすがに非難のニュースが連日流れている中で買いにいくのは厳しいところです。それでも、タイミングを見計らえば、個人投資家に大人気の銘柄を割安で買うことができるチャンスです。そう、同社の株式は移り気な個人投資家に人気があることがポイントです。個人投資家というのは、企業に問題が起きれば簡単に保有株を売り払いますが、騒動が静まれば何事もなかったように買ってくるのです。

マクドナルド(2702)の鶏肉問題と株価回復のチャート
マクドナルド(2702)の鶏肉問題と株価回復のチャート

実際のところ、管理人は底値で仕込んで、天井で売り抜けました。今回の手法を活用した訳です。利益確定は、同社が品質管理をPRするテレビCMを流し始めたことタイミングで行いました。騒動の鎮静化で、いわゆる材料の出尽くしとなることが予想されたためです。非難の渦中にあった銘柄というのは、マイナスがゼロに戻った時点で、一旦、動きが静まるものです。まあ、実際にはRSI(株式の買われすぎを示す指標)が高値圏にあったことも判断のきっかけですけどね。

ちなみに、このマクドナルド(2702)という銘柄。まだ、今後に続きがありそうです。一つは12月の株主優待、もう一つは2月の決算です。例年、12月にあるマクドナルドの株主優待は人気で、数ヶ月前から株価が高騰する傾向があります(個人投資家に人気)。今が11月なので、12月に向けて、再び上がるかも知れません。一方では、今回の不祥事で売り上げ減少は必定です。2月の決算は大幅な減収・減益でしょう。2月の決算に掛けては、再び株価が下落することが容易に想像できます。この辺りのトレード手法については、以下の記事で具体的に解説しています。参考にして下さい。

まとめと注意点

以上の通り、不祥事・スキャンダルのあった銘柄をあえて買いに行く逆張りの手法をご紹介しました。いずれの事例でも、買いの材料として、なんだかんだの楽観論を論じてみました。まあ、実際問題として大企業の経営というのは簡単に破綻するものではありません。

ただ、この手法で注意したい点は、企業の規模とスキャンダルの内容を天秤に掛けて見極める必要があることです。不祥事逆張り買いの対象としてよい銘柄は、有名企業・大企業に限ります。大企業は事業展開が多角的で、リスクや不祥事に強いためです。JASDAQやマザーズ辺りの新興企業だと、未成熟であるが故にスキャンダルが致命傷となり得ます。特に特定の分野で尖った事業を運営している新興企業は、それが強みでもあり、同時に弱みにもなっています。尖がった剣先というのは鋭いものですが、折れるときはポッキリ逝くもんです。

三菱自動車のリコール隠蔽問題やライブドアの決算改ざん問題のように、大企業でも経営に致命傷を負うこともあります。これらの企業で共通している点は、企業体質そのものに問題があったことです。企業体質に関わる問題は根深いので、次から次へと立て続けに悪材料が出てきます。叩けば叩くほどホコリが出るというやつですね。前述の2銘柄は、事の重大さを考えれば、さすがに買いはなかったんじゃないでしょうか(まあ、管理人はまだ株を始めていませんでしたので、当時の市場心理はよく分かりませんが)。

うっかり事故なのか根本的な体質問題なのか。スキャンダルを受けた企業の将来を見極めるには、とかく、問題の根深さを推し量ることが肝要です。そのヒントは、投資の本質に立ち返って「企業が今後も社会の役に立っていくのか」ということを考えることにありそうです。本当に世の中に必要とされている企業であれば、一時はダメージを受けても、いずれは立ち直ります。かつてのバブル崩壊後は潰れると噂されていた大企業や銀行が、今でもノコノコと生き延びているのが良い例です。

ちなみに次回は、逆のパターン。株価が高騰してもブームと共に沈静化してしまう事例をご紹介したいと思います。

後日追記:アップしました⇒ストップ高やブームでは企業価値は上がらない

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